2021.12.27 公開
超特急・DISH//、大阪城ホールにて結成10周年を祝うスペシャルライブを開催

Photo by 米山三郎、深野輝美  画像 1/11

超特急・DISH//、大阪城ホールにて結成10周年を祝うスペシャルライブを開催Photo by 米山三郎、深野輝美  画像 3/11

20分の転換ののちに再びターンテーブルが回り、今度はバンドセットが現れると、泉大智(Dr)の力強いカウントから「星をつかむ者達へ」で後攻のDISH//パートがスタート。北村匠海(Vo/G)と橘(DJ/Key)が勢いよくラップを掛け合い、矢部昌暉(Cho/G)と泉が声を合わせるというメンバー全員で挑む姿勢は勇ましく、スタンドに立てたギターをかき鳴らす北村を含め、プレイの激しさも見所だ。「こんばんはDISH//です! 最後まで楽しんでください!」と煽っての「Shout it out」は、彼ら初のハリウッド映画吹替版主題歌だけあり、スケール感のあるナンバーで、曲の世界観を投影したダークな映像に北村の甘さと艶を兼ね備えたボーカルが絶妙にマッチ。橘の挑発的なラップに矢部のかきならすギターも狂おしく、そのパッションを内から外へと開放していった「勝手にMY SOUL」で、一面に揺れるペンライトの壮観な様に、曲を終えて思わず北村が呟く。

超特急・DISH//、大阪城ホールにて結成10周年を祝うスペシャルライブを開催Photo by 米山三郎、深野輝美  画像 4/11

「すげーな、人が! 結成したばかりの頃、一緒にショッピングモールを回りに回って、最後にお台場のビーナスフォートで今日から我々は別々の道を歩むけど、いつか絶対ツーマンしようぜって言った日が今日です。こんなに大きなところでライブできるとは思ってませんでした」

そして「超特急から懐かしい曲のリクエストがあって、これ、やらしていただきます」と「恵比寿物語」の名をコールすると、初期のレア曲登場にスラッシャーも歓喜。橘の透明感あるピアノ音が印象的な別れを歌ったミドルバラードながら、恵比寿というワードや共に思い出を重ねてきた君へと綴られた想いに、この場で聴くと別の意味合いを帯びて、ひときわ温かみを感じてしまう。続く「SAUNA SONG」も、メンバーのサウナ愛に乗せて、身体をリセットすることの大切さを歌った、いわばヒーリングソング。モニターに流れるMVではメンバー自身もサウナに入って寛ぐが、お立ち台に腰かけてギターを弾く矢部を橘がタオルで仰いだりと、なんとステージ上でもサウナを再現して、そんなメンバーに「ふざけすぎ」と北村が笑いかけるのが微笑ましい。

10年前のリリースイベントでは3、40人しかお客がいなかったこと、それが今や大阪城ホールにまで拡大したことに、「もうね、感慨深いです。続けてるといいことあるんだなって今日で思いました。本当にありがとう」と重ねて感謝する北村。そこから「ちょっとやりたりないんで、大放出していいですか? 自由に、音に乗って音楽してください!」と、以降はロックチューンを豪快に乱れ打つ。ステージ前面から特効の火花がド派手に噴出した「Seagull」では、巻き舌気味でワイルドに攻める北村に、間髪入れず合いの手を入れる矢部と橘、忙しないツインギタープレイ、奔放なビートを刻む泉と、息の合った演奏で爆走。「JUMPer」ではマイクを握った橘がお立ち台に飛び乗り、ジャケットを脱ぎ捨てた北村と丁々発止なツインボーカルの様相を呈する。間髪入れず続いた「No.1」はメッセージ性の強いナンバーで、矢部のアグレッシブなギターソロから北村が突きあげたNo.1がと指を突き上げ、今よりも高い景色が 見たいからと歌い上げる一連の流れには胸を熱くするものが。ダンスロックバンドとして始まり、最初は楽器を持っているだけだった彼らが、今や完全に自分の音で想いを届け、聞く者の心を揺さぶっている――それは間違いなく、この10年における最大の進化だろう。

「これからも僕たちの旅路はどんどん進んで、いろんな足跡を残していくだろうけど、その轍をみんなが踏んでくれるんだろうなって、すごくいい未来が今日見えました。今、この瞬間を、また明日につなげてください」(北村)

そう言って始まったラストソング「DAWN」は、過去、現在、未来とつながる時間の中で、あなたと生きることを願う壮大なナンバー。声を出せないスラッシャーたちの代わりにメンバーがコーラスを放ち、確かな今を あなたと掴みたいと北村が伸ばした腕に、まだ見ぬ明日を今日の先に必ず掴み取るのだという絶対的な決意が見えた。

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