2021.12.07 公開
【ライブレポート】秋山黄色、沸き立つ感情に臨場感のあるライブパフォーマンスで魅了!<JAPAN ONLINE FESTIVAL 2021 Autumn>

秋山黄色 (C)JAPAN ONLINE FESTIVAL 2021 Autumn  画像 1/5

ロッキング・オンが主催するオンラインフェス「JAPAN ONLINE FESTIVAL」。今年2回目となる同フェスティバルが、11月20日・21日・23日に開催された。ここでは、11月21日の公演を彩った秋山黄色のライブの模様をお届けしたい。

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おもむろにギターを手にした秋山黄色は、弦を爪弾きながら、その響きを確かめるように音を奏でだす。「僕の知らないその顔は 最初から隠していたの」。『モノローグ』を歌いだすのに合わせ、秋山黄色のライブは幕を開けた。緩急/強弱の効いた音を背景に、彼は心の内側に渦巻く気持ちを一つ一つ手探りし、今、この場で伝えたい気持ちを引き出すように歌っていた。いきなり感情を高めるのではない。自分自身も、紡ぐ音や伝えるべき言葉/思いを探しながら、自分の心を少しずつさらけだすように歌っていた。切なさを増すようなライブパフォーマンスが見ている人たちの視線を、心をぐっと引き寄せる。

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印象深いギターの旋律のリフレインが、心地好い緊張感を与えてゆく。秋山黄色は、沸き立つ感情を少しずつ吐き出すように『Caffeine』を歌いだす。けっして激しく荒ぶる演奏ではない。秋山黄色自身が生み出していたのは、触れたらスパッと切れてしまう鋭利なナイフのようなスリリングな歌と演奏だ。触れたら心を射抜かれる。いや、射抜かれたいからこそ、緊張感を持った秋山黄色の歌声やギターの音色に心の手を伸ばしていた。切れ味鋭い音に乗せ、秋山黄色自身が沸き立つ感情に鋭利な衝撃を添えながら、楽曲に磨きをかけてゆく。

緊張感を継続しながら、楽曲は『ホットバニラ・ホットケーキ』へ。秋山黄色は、がなるように歌っていた。その姿は、渦巻く痛い気持ちを吐き出すようにも見えていた。背景の映像に歌詞やホットケーキのような映像が映しだされるのも、このイベントの特色の一つ。感情と映像と演奏が交じりながら、一つ一つの楽曲にリアリティと臨場感を与えてゆく。歌や演奏へ心は惹かれながらも、目に映る映像の効果も相まって、歌詞に込めた想いへ強く気持ちを重ねながら受け止めていた。だからか、いつも以上に一つ一つの楽曲がグサヂクサと心にダイレクトに突き刺さってきたのは…。


「なんぼ歌う機会が減っていても、人間は意外と順応してゆくもので。今までバンドにこだわっていた自分が、一人でこういうこともできるようになった。意外にこれは、すごく自分に合っているスタイルかなと思います。音楽は、形はどうあれ続いていけばいいなと思っています。まずは、音楽やらせろよという気持ちで進んでいきますので」

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重厚な音が響きだす。ふたたび秋山黄色は、ソリッドなギターの音に乗せ、心の葛藤を吐き出すように『PAINKILLER』を歌っていた。とてもスケールあふれる楽曲だ。雄大な景観を描きながらも、とてもミニマムな感情世界を、秋山黄色は葛藤する心情を吐き捨てるように歌い、叫んでいた。彼自身の反逆した気持ちが、音に乗せ大きく増幅してゆく。それが気持ちいい。

ギターを激しく掻き鳴らす、秋山黄色。彼は、自分の存在を見いだすように『アイデンティティ』を力強く歌っていた。絶望という闇の中へいつも身を浸しながらも、そんな世界にも射す光を感情や身体に覚えながら、そこで感じる強い意志を、彼は感情的な歌声や掻き鳴らすギターの音へぶつけてゆく。エモーショナル??そうだろう。でも、そんな言葉には集約しきれない歌の衝動を『アイデンティティ』に触れながら感じていた。曲が進むごとに歌声が感情的になってゆく。それだけ吐き捨てたい気持ちか高ぶってたということだ。

ペダルギターの音が『ナイトダンサー』を連れてきた。沸きだす衝動を、駆けだすエモーショナルな感情を、秋山黄色は歌声とギターの音をシンクロさせながら歌い叫んでいた。自分自身の心を奮い立てながら、秋山黄色は気持ちをぶつけるように『ナイトダンサー』に乗せて走り続けていた。

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美しくも切ない音色が響きだした。最後に秋山黄色は、ゆったりと始まったバラードの『夢の礫』を、言葉のひと言ひと言を噛みしめるように歌っていた。この曲ではギターを背中にまわし、信じた夢をその手で、その声でつかもうとするように歌っていた。今にも感情が壊れそうな歌声だ。それくらい自分の気持ちの奥へ奥へと手を伸ばし、隠していた本心をさらけだすように秋山黄色は歌っていた。だから、その歌声や、歌詞の一つ一つをしっかり受け止めたくて、彼の姿に熱い視線と心を傾けていた。


(文:長澤智典)

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