アーティストの清春が29日、ザ・ガーデンホール（目黒区三田）で、『The Birthday』と題したライブを行った。30日に53歳の誕生日を迎える清春を祝おうと、会場には約700人のファンが集結。舞台では新曲の『ガイア』を初披露したほか、ソロデビュー曲『EMILY』など全18曲を約3時間で聴かせた。愛犬も登場したアンコールでは『ハッピーバースデー』を合唱し、節目をお祝い。巨大なケーキにともされたろうそくを吹き消した清春は「祝ってくれてありがとう。幸せです。愛しています」と感謝した。
開演時刻を8分ほど過ぎて暗くなった会場。ドラムのKatsuma、ギターのDURANらサポートメンバーがステージに姿を現した後、真っ白なジャケットに身を包んだ清春の姿が見えると大きな拍手が送られた。
モニターの上に立つと、観客に背を向けて腕を広げた清春。浮かび上がるシルエットに息を飲むフロア。時間を埋めるように幕開けの『下劣』では、舞台から身を乗り出して客席を覗き込むなどあおっていく。2曲目の『錯覚リフレイン』では身をよじりながら歌うなどして魅了した。
一息ついたMCで煙草に火をつけた清春は「今日は52歳最後の日。41歳で歳が止まるかと思っていたけれど、もう53歳になってしまう。年々謎の生き物になってきているんだけど…」と苦笑い。「体力的にきつい」とぼやくなど素顔をのぞかせ、笑いを誘っていた。
ドレッシーなジャケットは、この日のためにあつらえたもの。「今まで買った（洋服の）中で一番高いかもしれない。ロックミュージシャンが買う値段じゃない」と明かし、会場がどよめく場面もあった。
ジャケットを脱ぎ捨ててた『ガイア』は壮大に。DURANのギターに合わせて歌った『美学』では、アーティストとして貫いてきた自らの“美学”を見せつけるようなパフォーマンスで圧倒。喜怒哀楽を体一つで表現する、唯一無二の存在であることを感じさせた。
フォーマルなジャケットスタイルから一変。グレーのスウェットにジーンズに素足とラフな装いに着替えた後半は、『JUDIE』『リグレット』で激しくフロアを揺さぶった。
アンコールでは、開場前にファンから集めたという「祝福メッセージ」を公開するサプライズも。北海道からやってきた人や、インディーズの頃から好きだというファンから「ずっとカリスマでいて」「一生ついていきます」と声を寄せられるとうれしそうに目を細めていた。
ビデオ映像には親交があるお笑い芸人「野性爆弾」のくっきー！も出演。半べそをかきながら「清春のおにいちゃん。いつも僕の背中を支えてくれてありがとう。（名付けて）背骨ちゃん。お誕生日おめでとう」とお祝いされると、噴き出すなど和やかなムードにあふれていた。
さらに清春が大ファンだというお笑いコンビの「かまいたち」からもお祝い映像が送られた。2人がスクリーンに映ると清春は「え、うそ。やったー！」と大喜び。山内健司から「一緒にお仕事できたらうれしいです」と呼びかけられると「えー。うれしい。会いたい」とそわそわしていた。
清春(※提供写真) 画像 4/6 
清春(※提供写真) 画像 5/6
映像が終わると愛犬を抱きかかえたスタッフから真っ赤なバラを50本。DURANとKatsumaから3歳分の3本を渡された清春。続けて「ＨａｐｐｙＢｉｒｔｈｄａｙ清春」とプレートが付いた、ピンクの花などがデコレーションされた巨大なケーキが運ばれると会場は祝福ムードに。清春の「せーの」の合図で、観客席から「ハッピーバースデー」の歌が届けられた。人差し指でクリームをすくい、口に運んだ清春は「ありがとう」と会場を愛おしそうに見つめていた。
バースデーライブは清春が30代の頃から企画してきた毎年恒例のもの。コロナ禍でライブ活動などには影響があったが、できた時間でDURANら若いメンバーと楽曲を制作するなど有意義だったよう。
「若い血と僕のベテランの血流が混じったものができた。50歳を過ぎて成長できたと感じられ、僕にとってはとても充実したコロナ禍だった。来年夏ぐらいにはアルバムを出したい」と目を輝かせていた。
3時間をかけた、52歳最後のライブは、アコースティックギターを手に『EMILY』で締めくくった。笑顔と拍手に包まれた清春は「また会える日まで。美しい時間をありがとう」と手を振り会場を後にした。
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