2021.08.08 公開
「今もライブハウスは好きですか?」
テナーとの台湾公演の思い出話でフロアを沸かせた後に披露されたのは、セカンドラインのリズムとポストロックのエモーションが溶け合う「morrow」。「morrow」はバンドが初めて停滞した時期に生まれた、唯一の確かな光だった。どんな逆境や絶望の最中でも、その音楽は鳴り止まなかった。君の感情が溢れ出すように。そう歌われる「A Hundred Emotions」の中に、ステージの上のメンバーも観客も、今はまだ声に出来ないそれぞれの思いを重ねる。
『UNITED FRONT 2021』東京公演の最後を飾ったのは、リリカルなドラムリフに、ターンテーブル、ベース、エモーショナルなギターが美しくレイヤードされていく「Curtain Call」だった。<白んだ空その向こうの/日々でいつかまた逢おうよ>と歌うKjが、満面の笑みで両手を振る。
音楽は鳴り止まない。ライブを愛する気持ちもきっと変わらない。いつかまた、ぎゅうぎゅうに押し合いながらライブハウスで笑い合える日まで。
Text 早川加奈子
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