2021.08.04 公開
HYDE、夏の京都・平安神宮にてソロ活動20周年コンサートを開催!

Photo by 岡田貴之・緒車寿一  画像 1/4

森羅万象を司る人知を超えた大いなる力に畏敬を捧げ、自らを差し出して祈りとするかのような、一世一代の儀式。

【写真】ソロ活動20周年コンサートを開催したHYDE(4枚)


今年、ソロ活動20周年を迎えるHYDEが“20th Orchestra Concert 2021 HYDE HEIANJINGU”と銘打ち、7月31日、8月1日の2日間に渡って京都府・平安神宮 特設ステージにて開催したコンサートは“コンサート”と聞いて思い浮かべるそれとは明らかに一線を画していた。

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2日目となった8月1日、開演前の平安神宮境内には天理大学雅楽部・おやさと雅楽会の総勢16名の雅楽奏者による生演奏が響き渡り、観客を出迎える。龍尾壇を境にして南側が客席、ステージが設えられているのは大極殿を望む北側だ。前日の初日はこうした歓迎の演出も不可能なほどの荒天に見舞われ、30分ほど遅れての開演となった。観客の安全は確保されていたものの、規定により20時30分にはすべての演奏を終了しなければならないため予定していた曲目および演出の大幅な変更を余儀なくされるという事態に。しかしながら、HYDEによって緻密に構築された世界観はそんなアクシデントにも揺らがず、むしろ降りしきる雨さえもその一部であるがごとく融け込ませて無二の感動へと昇華させたのだ。とはいえHYDEにとってそれが本意であるはずもない。彼が20周年という節目にこの平安神宮という場所で体現しようと目指したものが今日こそ完遂されますようにと足を運んだ観客もまた誰しも願っていただろう。平安神宮周辺には暗雲が立ちこめ、また、微かに遠雷も届くが、上空だけはぽっかりと晴れている。

 まもなくの開演を知らせたのは初日にも登壇した石笛(いわぶえ)奏者、横澤和也による特別演奏だった。地球から生まれた原始の笛とも呼ばれる石笛の音色、その余韻に導かれるようにして大極殿から粛然とHYDEが姿を現す。かがり火に照らされながら、「紋紗」という生地で全て特注で作ったという狩衣に身を包み、淡い緑の被衣をかざしてゆっくりとステージまでやってくる、その一歩一歩が客席をじわり昂揚へ導く。そうしてマイクの前に立つと、オーケストラの柔らかな調べに乗せて深みのある低音ヴォイスを放つHYDE。「UNEXPECTED」に滲む厳かな歓喜が薄闇に広がり聴く者を心地好く包み込んでいくようだ。思えばHYDEが単独公演として夏の野外のステージに立つのは4年ぶり。彼の伸びやかでスケール感のある歌声には夏の夜空がよく似合うということを再確認する。

 ところでHYDEは本公演に先駆けてオーケストラを率いた全国ツアー“20th Orchestra Tour HYDE ROENTGEN 2021”をスタートさせている。コロナ禍によりハードかつアグレッシヴなライヴの開催が困難となっている現状を踏まえ、ならば今しかできない音楽表現を追求すべく、2002年にリリースされた彼の1stソロアルバム『ROENTGEN』を生演奏で再現することをコンセプトに掲げたツアーだ。HYDEの内側に息づく“静”の世界観を具現するためバンドとは異なるアプローチで制作された本作は、それゆえにコンサートでの再現を想定しておらず、実際に今ツアーに至るまでほぼ行なわれてこなかった。ソロ活動20周年のアニバーサリーだからこそ実現できたツアーとも言えるだろう。一方で、2019年にリリースした11thソロシングル「ZIPANG」のMVを京都・東寺にて撮影した際にいつかこうした寺社でのコンサートができたらと思い描くようになり、せっかくならばオーケストラでと考えていたともいう。様々なタイミングが絶妙に重なり、こうして“20th Orchestra Concert 2021 HYDE HEIANJINGU”に繋がったという事実を奇跡と呼んでは大仰に過ぎるだろうか。

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