病気療養中で本日は不参加となる小泉光咲を除く6人の自己紹介を経て、結成からの2年を「あっという間だったけど、今まで7人と過ごした日々は絶対に忘れない」と武藤潤が語ると、大倉空人は「2年前にデビューを発表したのが、この豊洲PIT」と2年ぶりの帰還に感慨深げ。そして吉澤要人が「2年前のあのときとは違った景色を見ながら、最高の空間を作り上げていきましょう」と宣言して、内省的ワードが詰まった「嘘から始まる自称系」からは、その2年で培ってきたげんじぶの物語力を発揮してゆく。昼公演ではYOASOBIのAyase提供による「スノウダンス」、夜公演では懐かしの夏ソング「Up and Down」と切ないナンバーを繋ぎ、「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」から「幽かな夜の夢」の連作では、幻想的な詞と流麗な歌でロマンティックな世界を創造。しかし、そこでも疾走感あるサウンドに添ったダンスは実にアグレッシブで、さらにメンバー同士の緻密に計算された動きが、楽曲のストーリーを鮮やかに描き出してゆく。
前日の7月9日にも、偶然さなりとイベント共演していた彼ら。同世代との共演は初とのことで、昼公演では「同世代に見えないくらいオーラがある」(吉澤)、「大人の色気に圧倒されてメチャメチャ緊張した!」(杢代和人)と口々に賞賛する一方、げんじぶの最年長である武藤だけは「ういっす!」と挨拶して、メンバーに引かれたという暴露話もあった。また、大倉いわく「一緒にインスタライブをする約束をした」とのことなので、両アーティストのファンは楽しみにしていてほしい。
原因は自分にある。(photo by 米山三郎) 画像 4/5
そんな和気藹々としたムードのなか、「終盤、皆さん盛り上がっていけますか!」と煽りつつ、抽象的でディープなナンバーを次々投下して客席を惑わせるのも、彼ららしいあまのじゃくっぷり。5月に配信されたHIP HOPチューン「犬と猫とミルクにシュガー」では、スイートな曲名とは裏腹に現代社会の諸問題を痛烈なラップを交えて暴き出し、2021年の“今”を「柘榴」でアンニュイに皮肉ると、最後はお馴染みの2ndシングル「嗜好に関する世論調査」でラストスパートにかかる。メンバーが指を立てる“2択”のリフレインに、客席のペンライトもカラフルに閃いて、なんとも言えぬ不可思議な感慨を抱かせるが、そんな喜怒哀楽のどれにも分類できない感情を抱かせるのも、げんじぶの個性であり強みに違いない。
原因は自分にある。(photo by 米山三郎) 画像 5/5
結成2周年を迎え、新境地を見せる新曲に、新たなライブシリーズの始動と、第二期とも言えるフェーズに突入した原因は自分にある。桜木は昼夜公演通して「こうして有観客でライブできることが本当に嬉しい」と伝え、大倉も「この『NEOげんじぶ空間』も第2弾、第3弾とやっていきたい。どんどんステージも大きくなって、また皆さんと素敵な景色を見ていければ」と気合を込めた。その未来予想図が現実になる様を、ぜひ、その目で確かめてほしい。
文:清水素子
【セットリスト】
★原因は自分にある。セットリスト★
M1. 以呂波 feat. fox capture plan
M2.原因は自分にある。
M3. In the Nude
M4. Joy to the world
M5. 嘘から始まる自称系
M6.1部 スノウダンス / 2部Up and Down
M7. シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
M8. 幽かな夜の夢
M9. 犬と猫とミルクにシュガー
M10. 柘榴
M11. 嗜好に関する世論調査
