2021.01.26 公開
INORAN、新作アルバムの全曲試聴動画を公開

INORAN(※提供写真)   画像 1/1

前作『Libertine Dreams』前半のM-1「Don’t Bring Me Down」、M-2「Soul Ain’t For Sale」、M-3「Libertine Dreams」は、事態がさらに深刻化していく当時のコロナ渦の“緊張感”が、音にシリアスな“ロックさ”として現れており、ビートはダンサブルでありながら、1stアルバム『想』のような人間味溢れる“ファンクさ”が内包されていた。一方、『Between The World And Me』の曲に宿るポジティブなムードとビートの高揚感は、彼がエレクトロニカ、ハウス、アンビエントなどの機械的なダンスビートを深く掘り下げた6thアルバム、『Shadow』に通じるものがあり、それがよりモダンにアップデートされた印象を受ける。

新作の大きなハイライトとなるのが、ラストのM-11「Leap of Faith」だ。幻想的な鍵盤のハーモニーにメランコリックなギター・アルペジオが絡み合う、壮大なこのスローナンバーをINORANは新進気鋭の女性ボーカリスト、ピア・ソーニーと共に堂々と歌い上げる。INORANは、SNSを介してピアの歌を聴き、その才能に大いに惚れ込み、今回参加を依頼したそうだ。彼女のエスニックでミステリアスな雰囲気は曲によくマッチしており、かつての『想』のアイコニックなナンバー、「Monsoon Baby」や「Owl’s Tear」に通じる、和と洋のエッセンスが美しく繋がる独特な世界観がある。

「Leap of Faith」に「Take a Leap of Faith〜(信じて飛ぶ)」という歌詞があるが、本作のアルバム・アートワークとして、この歌詞をイメージした“飛び立つ黒い鷹”が描かれている。前作『Libertine Dreams』を完成させた時、INORANはLibertine Dreams(自由な夢)を追う者は、世界を救う平和の使者として、我々と繋がっていることを実感し、そこから本作のBetween The World And Me(世界と自分の間)というテーマを思い描いたそうだ。


コロナ渦の現在、世界中の人々が様々な厳しい状況に直面し、闘い続けている。しかし、そんな困難を救う“強い力”が、音楽には常に宿っていると、以前INORANは筆者に話してくれた。彼らしい唯一無二の音楽性がさらに磨き込まれ、より自由に表現された『Between The World And Me』の曲たちが、今後どうのように、彼と世界中の人々を繋ぎ共鳴していくのか、今からその興味は尽きない。

Text by Takahiro Hosoe

2ページ(全2ページ中)

関連タグ

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
WWSチャンネルの人気記事をお届けします

関連記事