「ちょっとどんな時に書いたか忘れちゃったけど、悲しい曲だね。何かあったんだね。みんなもそうだよね。20年いろいろあったよね?」自然体でありながらも、オーディエンスの心も震わせるMCからは、人の心を打つ彼女の魅力が改めて感じられた。次の曲もおばあちゃんに捧げたパーソナルな楽曲『愛の絆』。アルバムと同じ曲順で、オーディエンスの心に染み入るように展開していった。
アコースティックギターで、耳慣れたフレーズが流れると会場が一瞬ざわつく。そう、アルバム『Junior Sweet』1曲目の『ミルク』のイントロだ。ここからはアルバムの中でも最もポピュラーな曲が続く。シルクのベールをかぶり、南国のディーバさながらのエスニックな雰囲気を醸し出して踊るCharaの姿は、まるでインド映画のヒロインさながら。
『しましまのバンビ』に続いて、彼女の最大のヒット曲である『やさしい気持ち』が始まると、会場が一体となってこの曲のフレーズを口ずさむ。オーディエンスと一体となることで、ライブバージョンとして新しい進化を遂げているかのような盛り上がりからは、ライブならではの醍醐味が感じられた。
幼少時、ある先生がCharaに伴奏を頼んだことが、音楽の楽しさを知る大きなきっかけになったというエピソードを披露するChara。「先生って大事だよね。そして音楽って人と人をつなぐってことだよ」そう話りながら、ここからは他のアルバム曲も披露。『あたしはここよ』『レモンキャンディ』『Happy Toy』といった人気曲でステージを盛り上げた。
その後もキーボードの弾き語りから始まる『Tiny Tiny Tiny』などでじっくりと聴かせ、最後はファーストアルバムから『Break These Chain』で締めくくった。
アンコールではツアーTシャツをアレンジしたワンピースを着て登場。「(アルバム『Junior Sweet』の曲を)全曲やったと思ったら、もう1曲ありまして(笑)」と子守歌として作ったという『せつないもの』を披露。
ここでも先ほどに続いて幼少期に聴いた曲の影響を受けているかも、といったこぼれ話をしつつ楽しませてくれた。また、11月16日(水)に発売されるベストアルバム発売記念ライブを2017年1月22日(日)一夜限りで開催するというサプライズ発表もあり、ツアーファイナルのラストを大いに盛り上げた。
「また来てくれる?来てね。待っているよ。本当に」そう言い残してアンコールのラストを飾ったのは『SwallowTail Butterfly 〜あいのうた〜』。こうして、アルバム『Junior Sweet』の世界はもちろん、ミュージシャン・Charaの魅力が詰まったライブは幕を閉じた。
なお、このライブの様子は12/18(水)WOWOWライブでの「Chara 25周年記念6時間スペシャル」内にて夜9:00から放送される。19年の時空を飛び越えて、名盤『Junior Sweet』の世界が描き出された瞬間を改めて楽しんでほしい。
(取材/文:バッキー☆大坂)
