田中雅功(たなか・がく)と髙田彪我(たかだ・ひょうが)によるフォークデュオ、さくらしめじが10月23日(菌)に夜の配信ライブ「それでも進むから、少しの勇気を。」を開催した。
【写真】さくらしめじ 史上“最夜”となる21時開始の配信ライブ(8枚)
さくらしめじは8月1日(土)には東京の観光地を巡るライブバスからの生配信を実施。今回も当日まで会場が伏せられていたが、のちのMCで彪我が「豪華すぎてわからないと思いますが、キャンプ場からのライブをお届けしてます。大自然の中でライブをやっております」と明かしていたように、都心から1時間ほどの距離に位置するグランピング施設「TOKYO CLASSIC CAMP」からの配信で、キャンプであれば夕飯を食べ終えた頃であろう夜の9時からの開演となっていた。
さくらしめじ photo by 鈴木友莉 画像 2/8
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映像はスズムシやコオロギの鳴き声とともにススキや猫じゃらしが揺れる、秋の夜の景色からスタートした。まずは、10月15日に配信リリースしたばかりのバラード「きみでした Acoustic Version」を切々と歌い上げた。2015年に発表した2ndシングルのリード曲のリアレンジで、言えないまま終わった片思いとも失恋ともとれる、胸が苦しくなるようなラブソング。アコースティックギターの弾き語りというスタイルはいつもと同じだが、“夜しめじ”と題されたこの日は、明るく元気な笑顔を封印。続く、「まよなかぴくにっく」でも小雨混じりの夜空に見えない月や星を探しながら、大人になっていく不安や恐れを歌とギター、そして、14歳からの5年間をともに歩んできた二人でしかなし得ないハーモニーで表現した。
MCでは、雅功が「自然の空気や感情、いろんなものを共有したい。画面越しではありますが1つになれたらいいなと思います」と呼びかけ、コレサワ提供の大人の失恋ソング「届けそこねたラブソング」を熱唱。“君”が出て行ってしまった部屋で一人、後悔の念に襲われながら<大好きでした>と大声で歌っているような情景を届け、「きのうのゆめ」では夢の中でしか“君”に話しかけられない“僕” の不甲斐ない思いをエモーショナルに歌唱。ここで彪我が「自然から得られるエネルギーはいっぱいあると思います。気疲れした時に公園を散歩するとリラックスできる。そういうパワーを持っている自然の中でライブができることを光栄に思ってますし、自然に見守られながらライブをお届けします」と語り、自分の本当の気持ちを隠さずに一緒に笑って歩いて行こうというメッセージを込めた「かぜいろのめろでぃー」へ。その歌声は、空や風、大地や木々と同じような優しさと力強さを帯びており、画面を通して、彼らに明日を生きる勇気を与えてもらったような感覚があった。
キャンプファイアーの火が焚かれた映像と雅功による「今日くらいは自分が自分でいられるように」というモノローグを挟み、二人は森のクラブハウスのテラスからグランピングテント前へと移動。燃え盛る炎を前に、この日、初のアップテンポのロックナンバー「でぃすとーしょん」で衝動的な怒りを爆発させると、歌声は熱を帯び、「青春の唄」では“今、この瞬間”を大事にしたいんだと高らかに歌い上げた。感情が高まった彪我がマイクから外れるほどのフェイクを見せると、雅功は思わず笑ってしまったというような自然な笑顔をこぼした。