2016.11.20 公開
PHOTO BY ほりたよしか
11月19日、東京・渋谷TSUTAYA O-EASTにて、人間椅子の2016年秋のワンマンツアー〈地獄の季節〉がフィナーレを迎えた。10月29日に茨城・水戸LIGHT HOUSEから始まったこの旅は、全国各地でツアータイトルにふさわしい熱狂を生み出し、千秋楽へ。渋谷の満員のオーディエンスが見つめるなか、彼らの情緒溢れる重低音と歌声が高らかに響く夜となった。
午後6時半を少し回った頃、場内が暗転する。凛としたSEが鳴ると、フロアからは早くも興奮を抑えられない声が飛ぶ。ステージに現れた和嶋慎治(G & Vo)、鈴木研一(B & Vo)、ナカジマノブ(Ds & Vo)の3名から滲み出る風格は、今宵も妖しさ満点だ。
1曲目の「阿呆陀羅経」で早速、息の合ったプレイとハーモニーが炸裂し、続く「ねぷたのもんどりこ」で場内のテンションは一気に最高潮に。和嶋と鈴木の和やかなMCの掛け合いからも、このツアーの各会場での盛り上がりが伝わってくる。
先頃、旧譜13作品がHQCD仕様でリマスター再発されたことに触れ、和嶋が「今日はいつも以上に古い曲をふんだんにやります!」と宣言。イントロから一気にオリエンタル・ムードに導く「羅生門」、ミステリアスな列車に乗り合わせたかのような気分になる「幽霊列車」等、曲ごとに展開するドラマが非常に趣き深い。
また、「幻色の孤島」や「人間失格」といった、ねっとりとしたヘヴィネスのなかに狂気が顔を覗かせるプログレ大曲は、ライブで味わうと格別のクオリティである。これらが現時点での最新作『怪談 そして死とエロス』の楽曲と溶け合うさまが美しい。
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