10-FEET「Osaka Music DAYS!!! THE LIVE in 大阪城ホール」 画像 8/9
トリを務めたのは、関西のロックシーンを牽引する10-FEET。この日の客席には、彼らの主催する「京都大作戦」のTシャツを着ている観客がひときわ多かった。「RIVER」に始まり、「その先へ」、そしてラストの「CHERRY BLOSSOM」まで、まさに太陽が丘の空を思い出さずにいられない選曲で、この夏最高の思い出をファンにプレゼントした。最後の曲ではドラムセットを180度反転させ、ステージ裏のスタンドにいる観客に向かって演奏するサービスも。「この状況でも、ライブを楽しもうとするおまえらの心意気に、俺はもうベロベロの酔っ払いや」というTAKUMAならではの表現で、ステージに立てる喜びを語っていた。
どのバンドも、不慣れなルールに多少は戸惑いつつも、久しぶりに観客の前で演奏できる喜びを全身で噛み締め、そしてすべてのバンドが「次はライブハウスで会おう」という言葉を残していったのが印象的だった。
何よりも光ったのは、集まった観客5000人のマナーの良さだ。声を出さず、自分の席から離れず。10-FEETの「CHERRY BLOSSOM」でも、普段なら恒例となっているタオルの投げ上げをしている客が今日ばかりはほとんどいなかった。みんなが、我慢していたのだ。
そうした演奏中の楽しみ方だけでなく、転換時間のロビーやトイレの様子、入退場時の並び方を見ていても、全員がルールを守って動いていたように思う。主催者によって定められたガイドラインを観客が遵守すれば、音楽ライブで感染拡大は起こらない。それを証明できるのは、自分たちしかいないのだという自覚を持った立派な行動だった。
今日、ロックは息を吹き返した。ようやくトンネルの出口が見えてきた。
まさに関西の音楽業界全体が心を一つにして、ライブを愛してやまない5000人のロックファンとともに、踏み出した大きな一歩。
これから何年か経ったとき、この一日が伝説となって語り継がれることを心から願う。
