2020.06.26 公開
Psycho le Cému(サイコ・ル・シェイム)、現実とゲームの世界を融合させたライブを配信!

Psycho le Cému  画像 1/7

そしてオンラインならではのお楽しみはさらにここから続いた。暗転の後、真っ黒の画面に目に飛び込んできたのは8bitの白い文字。昔懐かしのファミコンのゲーム画面だ。当時のゲーム音楽を彷彿させる、今から考えればチープなサウンド(AYA制作)も、逆に新鮮でかわいらしい。ここで繰り広げられるRPGで、時間を旅する勇者たち一行の冒険を伝えてくれるようだ。そこに現れたのはモンスター、銀狼。メンバー一人ずつがさまざまな技で闘いを挑み、ようやく倒したものの傷ついた5人。インドラの酒場で休むことになった…。

そこに映し出されたのは、5人がテーブルを囲む姿。背景は、ファンタジーの世界に出て来るような木造の店内の様子が広がっている。観客はごくごく自然に、ゲームの世界からリアル(?)の世界へと導かれていただろう。この画面は、おそらくグリーンバックの背景に5人が座り、酒場の背景の映像を合成しているのだが、これこそオンラインライヴでしかできない試みだ。ただし、メンバーはまだ慣れていないせいか、照れたような笑いを浮かべている。が、ファンにはそれもたまらないはず。

ここからは通常のライヴでいうところのMCタイムとなり、5月3日の結成記念日で、21周年を迎えたことの感謝の気持ちからseekが話し始めた。本来ならその日は、彼らの故郷である姫路文化センター大ホールでライヴを行う予定であり、さらにそれは、昨年5月3日から続いてきた20TH ANNIVERSARY PROJECTが、夢の舞台で華々しく締めくくられる日でもあった。

Psycho le Cému(サイコ・ル・シェイム)、現実とゲームの世界を融合させたライブを配信!Psycho le Cému  画像 6/7 Psycho le Cému(サイコ・ル・シェイム)、現実とゲームの世界を融合させたライブを配信!Psycho le Cému  画像 7/7

Psycho le Cémuは、決して順風満帆にこれまでの活動を続けてきたわけではない。それだけに、20周年を祝うプロジェクトが途中で絶たれてしまったことへの悲しみは、部外者には想像もできないほどのものだっただろう。けれどもそこで彼らはくじけることなく、『未来をあきらめない日々』を、オンラインライヴという新たなステージでもってファンに見せようとしたのだ。

という背景がこのライヴにはあり、ドラマチックにその想いを綴ることもできるだろうが、画面には単なる仲良しの5人組のようにお互いの話にツッコミを入れ、スベってるかウケてるかわからんと笑い合い、インドラの酒場という居酒屋で楽しく飲み会をしているような光景が映し出されていた。微笑ましくありさえするその光景だが、しっかり話の要点は押さえており、ただの無駄話にならないところもさすがだ。

そんな時間を経たからか、「未来少年×未来少女」で始まった後半戦は、5人とも表情がやわらぎ、すっかりリラックスした様子。この日は、シングルの曲だけを演奏したこともあり、ひとつひとつのメロディのキャッチーさをまざまざと見せつけられた。そのポップセンスといおうか、日本人が好みそうなキャッチーなメロディラインは、Psycho le Cémuの大きな武器であることに違いないだろう。

オンラインライヴならではの楽しみを追求していたこの日だが、個人的に一番ライヴ感を感じたのは「聖~excalibur~剣」だった。ドラマチックな曲調と、それを奏でるサウンドから、空気が緊張感をはらんでいくさまが画面のこちら側にいても感じられ、生でライヴを見るときのような、ゾクゾクする興奮を味わえた。もちろんライヴ会場の爆音を体で感じるサウンドとは異なるが、それでも確実に伝わるものはあるという確信めいたものを得た。

2ページ(全3ページ中)
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
WWSチャンネルの人気記事をお届けします

関連記事