会場には、40台にもおよぶカメラが設置され、通常観客が入っていては配置することができない場所に位置するカメラの絵作りが、画面を見守る観客に、新鮮な興奮を与えたに違いない。照明やミラーボールも客席内にも設置されるなど、今回ならではの演出が随所に施された。MCをはさみ「Big Star Blues(ビッグスターの悲劇)」「フリフリ '65」といったロックナンバーでライブのボルテージを上げたと思いきや、「シャ・ラ・ラ」では原 由子とのデュエットを披露、この曲では「早くまたみなさんにお逢いできますように」というメッセージが映し出され、元通りのライブができるようになることを願った。
サザンオールスターズ特別ライブ2020 Photo by 岸田哲平 画像 3/3
「天井桟敷の怪人」を皮切りに、ステージにはダンサーも登場!そしてその後の「真夏の果実」からは、客席一つ一つに設置された、普段はライブで観客に配布され腕に着けるリストバンド型ライトが美しく光りだし、無観客であることを忘れさせる空間を生み出した。その光景はまるで、「いつの日かまた会場でお会いしましょう!」というサザンオールスターズからのメッセージのよう。さらに「東京VICTORY」では客席の真ん中に煌々と灯がともる聖火台が登場するなど、無観客ならではの華やかな演出も。「エロティカ・セブン EROTICA SEVEN」ではいつものライブのように、セクシーな衣装をまとった女性ダンサーが一層華やかに彩るが、ソーシャルディスタンスを考慮してメンバーとの接触はお預けだったほか、「マンピーのG★スポット」では、桑田がお決まりのヅラを被る一方、水着ダンサーは「G」と書かれたマスクを着用するなど、コロナ対策を意識した演出も。なお、桑田の「ヅラ」には、このコロナ禍におけるメッセージとして、「疫病退散!!」の文字も書かれていた。そして本編ラストに披露したのは、42年前の6月25日にリリースしたデビュー曲「勝手にシンドバッド」。無観客の客席にサンバダンサーが登場するなど、会場はお祭り状態!途中歌詞を「いつになればコロナが 終息するのかな!?お互いにそれまでは グッと我慢の暮らし 続けましょう!!」と替えて歌い改めてコロナ禍における結束を呼び掛ける一幕も。サザンオールスターズだからこそできるエンターテインメントの粋とも言うべき、極上のショーが繰り広げられた。
アンコールで披露された「ロックンロール・スーパーマン〜Rock'n Roll Superman〜」では、ステージ上のビジョンに、このライブを開催するにあたり、細心の注意を払いながら成功に向け全力で自身の仕事に取り組むスタッフ一人一人の姿が映し出された。そして感謝の気持ちを歌詞にしたOvertureを歌い上げると、いよいよ最後のナンバー「みんなのうた」に突入。この一連の流れが、約400人のスタッフ、サポートミュージシャン、ファン、そしてサザンオールスターズの全員がワンチームとなり、今回のライブを作り上げていることを表現し、このライブがタイトル通り「特別」なものであることを印象付けた。ライブの最後に、サザンオールスターズメンバー5人がステージ前方に集まり、「こんな寂しい横浜アリーナも初めてですけども、1日も早い皆さんとの再会を、サザンのメンバー、そしてスタッフ一同願っております。どうもありがとうございました!」と桑田が語り、無観客ながら熱狂と興奮と感謝に満ち溢れた特別なライブは幕を閉じた。
本公演のライブ映像は、ABEMAを除く7つの配信プラットフォームで、28日(日)いっぱいまで見逃し配信を視聴することが可能だ。チケットをお持ちの方は繰り返し観て、楽しんでいただきたい!(※ただし、ライブ開演中までにチケット購入をした人に限られる。
