photo by 大久保啓二、小林俊史
レコードメーカーである、ビクターエンタテインメント(以下ビクター)のロックフェスティバル『ビクターロック祭り2016~大阪秋の陣~』が、2016年10月9日(日)に大阪城ホールにて開催された。
『ビクターロック祭り」は、音楽事業で80年を超える歴史をもつ日本のレコード会社として、いつの時代もロックシーンに確かな足跡を残し続けているビクターが「ずっとロック、これからもロック」を合言葉に、満を持して開催する“ロックのお祭り”で、2014年、2015年、2016年と関東地区での開催されてきたが、今回はMBSとの共催で初の大阪開催となった。
【XmasEileen】
オープニングアクトを務めたのは、白い仮面にトレンチコートのバンドXmasEileen。バンドメンバーもチームの人数も明かされていない謎の集団として活動する彼らは、名前も個性的である。全員NO NAME。ファンは“ボーカル右”“ボーカル左”“ギター”“ドラム”“DJ”といったように、メンバーのパートで呼んでいるのだ。「ジングルベル」をサンプリングしたSEが流れ、ステージにメンバーが登場。
両手を掲げクラップをして客席を煽る。轟音と共にスタートしたのは「Fly High」。“イエーイ!遊びましょうー!”という雄叫びと同時にフロントマン3人がヤー!ヤー!と拳を突き上げる。その姿に思わず客席も手を挙げて応える。ボーカル右とボーカル左が入れ替わり情熱的に熱唱、疾走感のあるナンバーで会場を一気にあたためる。“Xmas Eileenです! そのまま遊びましょうー! 愛してるぜー!”という叫びと共に始まったのは「Walk the Talk」。激しいビートにステージの熱はさらに上がっていく。パフォーマーも前に飛び出し、サビではモンキーダンス!パフォーマーとDJが背中あわせで踊りだす。赤と緑のクリスマスカラーの照明が交差する中、心地よいスピード感に自然と体が揺れる。客席ももちろんモンキーダンス!
会場全体の一体感が高まり、高揚する。ボーカル右、ボーカル左、パフォーマー、DJ、ギター、ベースの6人がフロントに1列に並び、客席を煽り、火がついたスピード感はどんどん加速していく。“OK! 後半一緒に盛り上がっていきましょう!”と聴こえてきたのは、前半の激しいナンバーからは少しテンポを落としたメロウなナンバー「March」。“みんな首にかけてるタオル、サビで回してくれたら最高です!”の声を合図に、手にタオルを持つオーディエンス。どこか優しさを孕んだ歌声が会場を包む。
サビに向けて徐々に勢いが増していき、“回せー!”という叫びで客席は一気にヒートアップ! 後ろの席までタオルを回す様子が確認できた。ラストは「Keep on A・B・C・ing」。背後のビジョンにXmas Eileenのロゴが映し出される。内に秘めた情熱をぶつけるかのように激しい照明とドラムプレイが交差し、ギタープレイにも力が込もる。ボーカルの雄叫びにも似た歌声が大阪城ホールを突き抜け、会場のボルテージを引き上げた。“オープニングアクトってついていて悔しいんで、その冠取ってまた戻ってきます! みなさんその時また遊びましょう!”と、全4曲を全身全霊で駆け抜け、ステージを後にした。Xmas Eileenの勢いと力強さを見せつけたパフォーマンスだった。
(文:久保田瑛理)
【Gacharic Spin】
