ROCK AX Vol.4/DAY2公演が2月19日(水)に東京・Zepp Tokyoにて開かれNovelbrightとニガミ17才が競演し、2000人のオーディエンスを沸かせた。
ROCK AXは『今、目撃するべき本物のライブを』をコンセプトに掲げて2019年1月にスタートした音楽イベントで、今回で4回目。この日のライブは前日のDAY2に続く2日目。Novelbrightとニガミ17才は、新人アーティストの登竜門と言われる日本テレビの音楽番組「バズリズム02」の"これがバズるぞ!2020"で1位と2位を獲得。今、最も勢いのある若手アーティストの競演が実現。
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<ニガミ17才>
19時ちょうど。暗転したステージに4人が登場。ひとりは身体につけられた電飾ライトを点滅させている。照明が明るくなると、ニガミ17才のメンバーが丸椅子の上に並んで立っている。その場でボーカルの岩下優介に紹介されたメンバーがアルバム「ニガミ17才 a」収録の「A」の演奏を始め、丸椅子を降りて所定の位置に移動。通常、バンドでのドラム位置は後方だが、彼らはステージの左手で真横にセットされている。メンバー全員が各々のポジションに着くと『ライブハウスへようこそ!』のMCでスタート。なんとも奇天烈なオープンニング、呆然と見守る観客をよそに、「おいしい水」、「ただし、BGM」を立て続けに演奏。早口でマシンガンのように発信される歌詞に、ドラムとベースがゴリゴリと絡んでいく。そのグルーヴにオーディエンスも引き込まれ、気がつけば身体がリズムに反応。「ねこ子」ではキーボードの平沢あくびがティッシュケースを持って例の丸椅子の上に立ち、次々とティッシュを抜き取ってステージに撒いていく。イタズラ好きの猫がよくやるティッシュ全抜き取りだ。またしても観客唖然。
おしゃれ且つ変態な楽曲の表現をコンセプトに掲げられたニガミ17才、イロモノと見られがちだが、どうしてなかなか。凄まじいまでのうねりを発するリズム隊、跳ね飛び回るカッティング・ギター、80s風のどこかチープな響きのシンセサイザー。サウンドはファンクをベースにR&B、ロック、ディスコ、オルタナティブにニューウエーブと様々なジャンルの音楽が雑色的に取り込まれている。そこへ言葉遊びのような歌詞がシャワーのように舞い降りる。でも難解ではなく、あくまでもポップでキャッチー。こんなアンバランスを成立させるのは、卓越した演奏技術の裏打ちと豊富な音楽知識ゆえ。80年代に一世を風靡した米NYの変態バンド、トーキング・ヘッズをも彷彿させる。
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圧巻はラスト・ナンバー。『最後の曲やります』と岩下が告げた時刻は19時45分過ぎ。1バンド、65分のステージだからまだまだ時間を余っている。疑問符が宙を飛び交う客席に向け『Novelbrightのファンの方申し訳ないです、15分やります!』と告げると会場からは納得と期待の大きな歓声があがる。そして「かわきもの」の演奏が始まった。ジャズのインプロビゼーションを見ているようなベースとドラムのグイグイと繰り出すグルーヴに、いつしか場内はダンスフロア状態になって揺れ出す。途中、演奏を止めちょっと休憩と、水を飲みだす岩下。『こんなにノリにくい曲をあと15分もやると思ってるでしょう』と話すと平沢あくびがセンターに出てクラッピングで客席を煽りはじめる。岩下は『今演奏してる曲は5拍子。この悪女が皆さんを誘導してるのは4拍子。ベースとドラムの上半身は5拍子、下半身は4拍子を叩いています!』と違ったリズムが同居してる不思議について説明を始める。ここからはロックのリズム、ボサノバに演歌の拍子と様々なリズムをドラムとベースが紡ぎ出し、それに合わせて岩下が「かわきもの」の歌詞を乗せていく。さながらニガミ17才の音楽実験工房だ。PHOTO:山内洋枝 画像 5/13
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途中、俺も口笛出来るというところを見せます!と、「情熱大陸」の一節を口笛で披露。これは口笛世界大会で優勝したNovelbrightの竹中雄大へのオマージュ。グダグダな口笛だったが、Novelbrighファンは大喜び。後半はリズムの世界一周から、本来のアレンジに戻り15分に及んだ「かわきもの」を完奏。『今日は音楽は素晴らしいもの、楽しいものだとだけ覚えて帰ってください!』と話しステージを降りた。最後に残った平沢あくびから『ありがとうございました!バイバイ♡』とキュートに告げ、オーディエンスも惜しみない拍手で送り出した。
