2020.02.17 公開
AK-69の東名阪ライブツアー「THE LIVE―6900―」が大盛況のもと終了!

Photo by cherry chil lwill.  画像 1/5

AK-69の東名阪ライブツアー「THE LIVE―6900―」が大盛況のもと終了!Photo by cherry chil lwill.  画像 3/5

 もちろんこうした状況はステージに現れる直前のAK−69の耳にも入っているわけで、否が応でも「下手なものは見せられない」という思いが頭に兆していたに違いない。またそれと同時に、さして時間を待たずやってくる開幕を奇妙に静かな感情で俯瞰しているAK−69もそこにはいたはずだ。そしてAK−69のライブ(作品)の真骨頂は、興奮や緊張の真っ只中にあるAK−69と、その状況を俯瞰しどこかでそれ自体を楽しみ、かえっていつもより落ち着き払ったAK−69がショウ(サウンド)の中で融合していくところにある。それはAK−69がいわゆるZONEに突入していく姿が見所なのだとも言い換えられるだろうか。

 この日、バンドのイントロの後「THE CARTEL FROM THE STREETS」でステージに現れたAK−69は終始楽しそうだった。意識を一瞬でも逸らせば途端にそのうねりから弾き飛ばされそうな、縦横無尽にぶつかり合う69バンドのスリリングなサウンドをギリギリのドライブ感でコントロールしていく様に、10代から70代まで(!)の幅を持つフロアのボルテージも冒頭から絶好調。これによりAK−69も開始早々から、この夜新たなZONEに到達できるという特別な予感のようなものが漲っていた。

AK-69の東名阪ライブツアー「THE LIVE―6900―」が大盛況のもと終了!Photo by cherry chil lwill.  画像 4/5

2019年3月に開催された武道館の2デイズ決行の半年後、それが「頂点」とは言わせないタイトなスケジュールのライブハウスツアーを開始し、この夜に至るまでの怒涛の日々を生き抜いてきたという自負。もっと言えば、日本の地方都市のストリートにいた不良がヒップホップに出会い、一途にインディペンデントでの活動から骨身を削り、経験(というより人生そのものか)を糧にした言葉で鳴らす「音楽」だけで今ここにいるーー“地方馬がダービーを制す”瞬間を見せつけてきた自負。

 

「今の状況が悪くないとしても、現状維持しようと思ったらあとは下がるだけなんですよ」

 いつかのインタビューでAK−69はさらっとそんなことを言っていたが、だからこそ常に前に足を踏み出さなければいけないとは、いうほど簡単な話ではないだろう。それはきっと前人未到で過酷で孤独な道のりでもある。

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