東京スカパラダイスオーケストラ Photo by 古溪一道・川澤知弘 画像 6/8
そしてラストは、デビュー30周年を迎えた東京スカパラダイスオーケストラが登場。彼らはスカを基調にしながらも、ジャンルを問わず様々な垣根を壊す活動を続けてきた日本の音楽シーンきってのSKAバンドであり、同時に、長年cutting edgeのアティチュードを体現し続けてきたバンドでもある。この日はゲストボーカリストとして10-FEETの TAKUMAとSUPER BEAVERの渋谷龍太を迎えた。
まずは「DOWN BEAT STOMP」がはじまると、お馴染みの「Yeah yeah yeah yeah, yeah, yeah」というコーラスに早速会場一体となった合唱が生まれ、観客がジャンプをして早くも巨大な一体感が生まれていく。自身の単独公演はもちろんのこと、国内外の様々なフェスで会場を揺らしてきた彼ららしい、一瞬でボーダーを取り払うような雰囲気がとにかく楽しい。以降はMCで谷中敦が「cutting edgeは流行の先端を切り取るレーベルとしてはじまりました。まだ切り取れてるかな?」と伝えて、2曲目「Paradise Has No Border」へ。「この会場で、一番盛り上がっているのはどこだ!?」とGAMOが告げると、メンバーがステージの左、右、中央を大移動しながら、ますますパーティー感溢れる演奏で会場を揺らしていく。
東京スカパラダイスオーケストラ Photo by 古溪一道・川澤知弘 画像 7/8
続く昨年リリースのアルバム『ツギハギカラフル』の1曲目「Jamaica Ska」では、バンドがスカダンスの基本をレクチャーした後、10-FEET のTAKUMAがステージに登場。スカからはじまってヘヴィロックを主体にしたミクスチャーになる中盤にはメンバーがTAKUMAとともにヘッドバンギングを決め、またスカへと戻る構成に観客の熱気がますます増していく。そのままTAKUMAがボーカルを務めた「閃光 feat. 10-FEET」では、TAKUMAとメンバーが縦横無尽にステージ中を動き回ったり、メンバーが次々にソロを披露したりと、ユーモアを交えつつも、一瞬たりとも目が離せないパフォーマンスが続く。
東京スカパラダイスオーケストラ Photo by 古溪一道・川澤知弘 画像 8/8
続く「縦書きの雨」では、渋谷龍太 (SUPER BEAVER)が登場して歌唱。直後のMCでは谷中敦が、渋谷龍太がSUPER BEAVERのライブで観客に言った「“あなたたち”じゃない。“あなた”に届けたいんだ」というMCを引用し、「自分たちもそういう気持ちでいる」「ひとりひとりの観客に届けたい」と伝えた。続いて渋谷龍太が「自分がスカパラを知ったきっかけの曲」と紹介した「めくれたオレンジ」では、彼のボーカルとバンドの演奏がふたたびひとつになり、照明もオレンジに変わっていく。その後はバンドがデビュー30周年を迎えたことに触れ、「未来へ向かって!」という掛け声とともに「Glorious」へ。会場一体となってタオルを回し、谷中敦がスカパラのタオルを掲げて大歓声が起こった。
最後はドラムの茂木欣一がベストアルバムのリリースを告知。「30年以上やってきた曲をやりましょう」と伝えて「ペドラーズ」がはじまり、思わず体が反応してしまうダイナミックなスカビートで踊る観客を前に、ステージ両サイドに用意された台からからフロントメンバーが次々にステージ中央に飛ぶ、多幸感溢れるパフォーマンスでフェスを締めくくった。
「時代のエッジ」を切り取るアーティストを世に送り出すため、1993年にはじまったcutting edgeは、これまでロックやヒップホップ、クラブ・ミュージック、レゲエを筆頭に、ジャンルを問わず様々なアーティストを送り出してきた。そんなレーベルを長きにわたって支えてきたベテランと、ここ数年で新たに加わった面々とが一堂に会した「TOKYO CUTTING EDGE Vol.3 ~Tokyo Ska Has No Border~」は、ジャンルの垣根を越えて音楽のエッジを体現し続けてきた同レーベルの“今”と“これから”を伝えるような雰囲気だった。
(文:杉山 仁)
