オメでたい頭でなによりが、各地で繰り広げた全国2マンツアー『真剣2マン遊VIVA!』も、いよいよ最終日。満杯となった恵比寿リキッドルームに登場したスペシャルゲスト・氣志團の存在感は、やはり圧倒的であった。開演を告げるSEが鳴り響く中、真っ赤なライトで染まったステージに現れたメンバーたちが、最初に届けてくれたのは「喧嘩上等」。エネルギッシュなサウンドに刺激された観客の盛り上がり方が、早くもすさまじい。「ゴッド・スピード・ユー!」「俺達には土曜日しかない」「愛羅武勇」など、一緒に歌ったり、踊ったりせずにはいられない強力なナンバーが連発されたことによって、会場内はどんどん熱気で満たされていった。
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永遠の名曲「One Night Carnival」も届けられて大いに盛り上がったのだが、この曲がリリースされたのは2001年。“昔の曲をいつまでもやることに不満げなメンバーたち vs 白い目で見られる團長”という設定の寸劇の後、危険過ぎて詳述できない粋なアレンジによる3バージョンの「One Night Carnival」を披露――という展開は、大爆笑せずにはいられなかったと同時に、百戦錬磨のエンタテイナーである氣志團の貫禄を再確認させられる場面であった。初めて彼らのステージを観る人もたくさんいたのだと思うが、超ハイレベルなパフォーマンスに魅了されたはずだ。氣志團にとって、これが2020年最初のギグだったそうだが、切れ味抜群であった。
ステージ転換が行われている間に流れたラジオ番組風音声『オールナイト転換』。パーソナリティに扮した赤飯によるウィットに富んだトークに耳を傾けながら、観客は和やかに過ごしていた。そして、ついにスタートしたオメでたい頭でなによりのライブ。赤飯(Vo)、ぽにきんぐだむ(Gt・Vo)、324(Gt)、mao(Ba)、ミト充(Dr)が登場して1曲目「乾杯トゥモロー」の演奏が始まった瞬間、会場全体の空気が明るく沸き立つのを感じた。大勢の人々が親指を立てた拳をグラスに見立てて交し合うフロアの光景が、実にピースフル。オメでたのライブは、“おもいやりのぶつけ合い”を常に呼びかけて、幅広い層の人々が楽しめることを大切にしている。目指している理想の空間を、この曲はまさしく作り上げていた。
氣志團のサポートメンバーとしてドラムを叩いている叶亜樹良とぽにきんぐだむは、17歳の頃、地元で一緒にバンドをやっていたのだという心温まるエピソードが明かされたMCを交えたりもしながら、「憂き浮きウォッチング」「鯛獲る」「チャイルドプレイ」など、へヴィな爆音を序盤から連発。メンバー全員のダンスパフォーマンスに合わせて観客も全力で踊った「推しごとメモリアル」。起伏に富んだ展開がドラマチックだった「四畳半フォークリフト」。過ぎ去ったばかりのお正月が、ムーンウォークをしながら戻ってきたかのような華々しい盛り上がりを生んだ「SHOW-GUTS」……多彩なナンバーの数々によって、親子席の“大五郎シート”、騒がずにゆっくり観たい人のためのスペース“デリケートゾーン”の人々も含めて、完全にひとつになっていた。
