まずは、アルバムのオープニング曲「Gotta look」。EDM音色が多用され、いつになくイケイケ感が前面に打ち出されたナンバーだ。続いて、グルーヴィーなジャズファンク曲「Get your control」。洋楽的要素とJ-POP的要素がバランス良く配合された「Deep breath」。MCを挟んで「Remind me…」。RUUNAが今は亡き愛犬への想いを綴ったこの曲では、情感が溢れる彼女の歌唱がひときわ感動的に響く。
「Same mistakes」では、最新作における先鋭性を一手に引き受けたかのような極めてプログレッシヴな中間部が、より一層臨場感を帯びて展開する。続いて、DECO*27との共作により新機軸を打ち出した「I live in hope」。ここでは、ステージに立てられた数本の大きな燭台から炎が上がる演出も。さらには、「顔だけ見て選んでいたならGood bye」といった辛辣な言葉が綴られたファンクなナンバー「Why, Mr.?」。そして『不思議の国のアリス』のような世界観が描かれたファンクチューン「Wonderland」。異空間に迷い込んだ様を楽しく表現するかのような振付けが目を引く。
「次はみんなで一緒に盛り上がれる曲」と紹介された「Brand new days」は、レゲエやヒップホップのノリでオーディエンスを煽っていく。そして「Up all night」では、kolmeらしい語法を駆使しながら親しみやすいポップを綴り、サビへと向かうブリッジでディープなEDMを展開。ライヴではそのコントラストがより一層強調され、フロアを一段と沸かせていた。
再びMCを挟み、「次の曲は感謝の気持ちを込めて」というMIMORIの言葉と共にスタートしたのは「Wherever I go」。驚いたことに、振付けは一切なく、立ち位置さえも変えずに不動のままで歌い切る。煌びやかな照明ではなく、ナチュラルな光を浴びながら、ひたすら歌に気持ちを込める真摯な姿は、どこか神々しくさえ見えた。
そしてこの壮大なショウを締め括ったのは「Repeat」。Da-iCEの工藤大輝と共作したこのナンバーは、kolme自身の楽曲とはまたひと味違ったポップさが打ち出されているが、それに呼応するかのように、80年代のダンスの常套句が随所にちりばめられるなど、kolmeらしからぬポップな振付けが施されている。オーディエンスは、”kolme流ポップ”の幅をさらに広げるこの曲に合わせ、思い残すことのないよう身体を揺らしている。3人は、会場の隅々まで視線を送りながら手を振り、やがてステージを後にした。
極めて“音楽的な”ライヴだった。的確に音楽に彩りを添える照明はあったものの、音楽そのものを聴衆にダイレクトにぶつけている印象の、“潔い”ショウだった。のみならず、その音楽性やパフォーマンスの充実ぶりに甘んじることなく、自身に新たな試みを課し、さらに新たな領域へと足を踏み入れようとする気概も、その音楽性やパフォーマンスに感じられた。5周年ツアーは新年1~2月にかけて続き、全国5カ所で公演を行うこととなっている。各地でどんなショウを展開してくれるのか、そして2020年にはどんな音楽を届けてくれるのか、ますます楽しみになる一夜だった。
