不器用に生きる女性の切ない思いや苦しい胸の内を、多彩なサウンドに乗せて発信し続けてきたJUJUが、デビュー15周年を迎えた。記念ツアーのテーマは、「あなたとつくる究極のリクエストライブ」。ファンを大切にしてきたJUJUらしい、心温まる、それでいて華麗なツアーファイナルを東京国際フォーラムで開催した。
【さらに写真を見る】JUJU・デビュー15周年ライブの様子(9枚)
記念ツアーのファイナルで、“JUJUの日”当日というスペシャルな日に集った幸運な観客は、主役の登場をねだるようにさかんに手拍子を打ち始めた。
バンドメンバーに続いて、しとやかに歩み出てきたJUJU。切実さを帯びたアカペラで歌い始めたのは「この夜を止めてよ」。バンドサウンドが徐々に重なり合い、ドラマチックに展開していく。ストリングスの音色が切なさをより際立たせたオープニングとなった。
続いて、スウィングする「If」では、モノトーンのミニのドレスから伸びた美脚でリズムをとりながら、総立ちになった観客と再会を喜び合っているようだった。
Photo by Hajime Kamiiisaka 画像 2/9
「JUJUの日に逢えるのを楽しみにしていました」と笑顔を見せ、「15年も歌い続けられるとは思いもしなかった」と振り返り、だからこそ「感謝を伝えられるツアーにしたい」と思ったという。そこから、ファンが参加できるリクエストライブを思いついたのだそうだ。
「15年前は、人前に出て歌うのが怖かった」とデビュー当初の心境を吐露。「(ファンの支えがあったおかげで)今では、一番好きなものになりました」と変化を語った。内なる自分と向き合いながら、時には己と闘いながら歌い続けてきたからこそ、彼女の歌は多くの心を揺り動かすのだろう。
「夏になると思い出す誰かを浮かべながら聴いてください」と紹介した「ナツノハナ」を清らかに、美しいハーモニーを響かせた「奇跡を望むなら…」をウォームに歌いかけるなど、楽曲の世界観ごとに丁寧にバラードを歌い分け、観客を魅了した。
Photo by Hajime Kamiiisaka 画像 3/9
Photo by Hajime Kamiiisaka 画像 4/9
ドラムロールに誘われるように、天井から「DELICIOUS」の文字が下りてきた。ここからは、JUJUのライフワークでもあるジャズのセクションだ。スタンダードジャズの名曲「Take Five」を、スキャットも軽やかにスムース&セクシーに歌うJUJU。スローで重厚なムードで始まった「Englishman In New York」は、途中からテンポアップし、1つの楽曲で違った表情を見せる秀逸なアレンジも聴き所。18歳で単身渡米後、ニューヨークで暮らしていたJUJUも、この歌詞のような気持ちを抱えていたのだろうか…と、ふと彼女の濃密な歩みに思いを馳せずにはいられない。CMでジャズバージョンが一躍知られるようになった「My Favorite Things」(オリジナルはミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」収録曲)では、JUJU自身が手掛けた訳詞が大型ビジョンを飾った。
Photo by Hajime Kamiiisaka 画像 5/9
Photo by Hajime Kamiiisaka 画像 6/9
