2019.12.09 公開
椎名林檎のMV集リリース記念で爆音上映会を開催

Photo by 太田好治  画像 1/1

児玉は客席から感謝を伝え、自ら観客にマイクを向けて感想を聞きながらステージへと歩を進め登壇。児玉に呼び込まれ、映像集の商品パッケージを想起させるチョコレートカラーのエレガントな衣装で椎名が登場すると、観客からさらに大きな拍手が巻き起こった。

椎名は「お目にかかれて光栄です」と観客に挨拶。テーブルを挟んでスツールに座って向かい合うと、二人のトークがスタート。二人は来場者全員に配布したMVのコンテを掲載したスペシャルブック「HOW TO MAKE A MUSIC VIDEO」を手に、MVの企画から撮影までのプロセスを辿っていく。

「アルバムからどの楽曲でMVを撮るかは、ほぼ(児玉)監督が決めて」(椎名)
「僕が3案ぐらいアイデアを提示すると……」(児玉)
「「その3案全てが必要」と答え、スタッフの皆さんを巻き込みながら我々も自ら重荷を背負う(笑)」(椎名)

「長く短い祭」のエピソードでは、椎名が楽曲に込めた“女性だからこその機微”を十分に汲み取れなかった児玉が、「全女性から怒られる代表の男性みたいな時間があった」と告白。それに椎名が「ここで描かれている主人公の人生、つまりは実生活が間違って伝わることが許せなくて。撮影時には自宅から衣裳や美術まで持ち込んでしまった」と応戦すると、児玉は思わず「毎回、すごいプレッシャーの中で作っているんですよ」と観客に吐露して、会場が大きな笑いに包まれた。

壮大なスケールで描かれた「鶏と蛇と豚」の制作時には、あまりのコンテの難易度から、参加したクリエイターたちが「空を見上げる時間があった」(椎名)という。

「MV制作は夢がなければ、さらにメッセージが確かに正しく伝わらなければ意味がない」(椎名)
「二人の共通点は、狙い撃ちで素材を用意し、無駄なく使い、決め打ちで創作するところ」(児玉)

この他にも、制作における“伏線”の仕掛け方や、サウンドと身体表現(演技、ダンス)の関係性など、音楽家と映像作家という互いのスタンスから、次々と興味深い話題が軽妙なやり取りで語られていった。

「辻褄が自然と合っていくプロジェクトは上手くいく」(児玉)
「そのためには、我々作り手が如何に普通に暮らしているかが重要。この令和を直向きに生きていくことで、お客様皆様とお揃いの実感が増え、もっと辻褄が合っていくのでは?と夢を見ます」(椎名)

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