スクリーンにハートが映し出され、心音とともに「生きる……」「私は存在する」「存在ってなんだろうか」と問いかける2人のシリアスな声が響き渡ると、客席の笑顔が引いて一気にステージに引き込まれいく。さらに「存在とは肉体じゃない、繋がることが存在なんだ。誰かの胸の内に居る事が「存在」なんだよ。その胸の内の居場所を人間は『心』と呼んだんだ。『心』を叫べ……。『心』を叫べ! 『心』という名の魂が、この身体を動かすモノがあるんだ!」という絶叫が心を打つ。
「聞かせておくれよみんなの叫び」
「魂の雄叫び」
「魂のカウントダウンを始めるぞ!」
バーチャルのキャラクターが問う、存在の意義。熱い想いに全員の心が一つになり、カウントダウンが始まる。
「始める前にちょっとだけパワーをください」
「お願い名前を呼んで」
二人の呼びかけに客席から「ヒメー!」「ヒナー!」という絶叫が湧き上がる。そして流れた出したのが代表曲の『ヒトガタ』のイントロで、最初からクライマックスのような盛り上がりを見せていた。ステージのスクリーンいっぱいに映し出される巨人の姿で現れて踊りまくり、終盤、幕が開いて本人達が等身大で現れるという演出も観客のド肝を抜いていた。
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息つく間もなく怒涛のボーカロイド曲メドレーに移り、『ワールズエンド・ダンスホール』や『ギガンティックO.T.N』、『ブリキノダンス』、『ロストワンの号哭』など、アップテンポな名曲を早口で見事に歌い上げる。スクリーンに映し出されるモーションタイポ、空間に華を添える照明などにも煽られて、観客もペンライトを振る手に力を入れていた。ボカロパートのラストを飾る『ロキ』では、「薄っぺらいラブソングでも」「Don't Stop! Don't Stop!」などの掛け合いを交えてさらに一体感を高めていく。続くMCでも、鈴木ヒナが「昨日眠れなかった人ー!」「遠くから来た人ー!」などと呼びかけて、客席とのコール&レスポンスを楽しんでいた。
中盤は『田中音楽堂』と題されたアコースティックパートだ。MCのあとにステージに立ったのは、田中ヒメとギタリストの2人で、蝶々Pの『心做し』、山口百恵の『さよならの向う側』、奥華子の『ガーネット』といった名曲を歌い上げた。客席は伸びやかな美声と空気を震わせるギターの音色に魅せられて、ピンク色のペンライトを振り、涙腺を緩ませながら聴き入る。最後のスピッツの『チェリー』では、スクリーンに映し出される歌詞を見ながらサビを全員で大合唱し、全員で心をひとつに合わせる暖かさを実感していた。
この流れで合唱パートになだれ込む。『太陽系デスコ』では、「オー・オ・オー!」、『創世のアクエリオン』では「一万年と二千年前から愛してる!」「俺もー!」と観客側が絶叫。さらにMCコーナーでは、『ヒバリ』の替え歌をお客さんと一緒に作る『第一回 ヒバリ クソ歌詞グランプリ』を開催。HIMEHINA、再出演した天の声4人、お客さん2人で歌詞を穴埋めした素晴らしい『クソ歌詞』を全員で合唱して盛り上がった。一方的にステージを見るだけでない、観客達も参加して楽しめる空間を提供してくれたのも本ライブの魅力だ。
