2019.07.08 公開
「正直、ここ天草にはあんまりいい思い出がなくて。18年をここで過ごしたけど、逃げるようにして東京に出ました。だけど、これまで出会ってきた人や、今日来てくれている媒体の人や、PIZZA OF DEATHの人にも『天草いいところだね』って言ってもらえて。天草を離れて初めて、天草のいいところがわかりました。今日天草に来てくれた人達にもずっと歌い続けるし、これからもドーム、アリーナ、ライヴハウスを貸し切って開催していきます。たくさんの人に歌を届けたい」――。
若かりし頃に誰しもが抱くであろうまだ見ぬ世界への好奇心や、ミュージシャンとしての一途な思い故にこれまでWANIMAとして公式ライブを行うことがなかったことも有り、初めてWANIMAのライヴを目にする人も多かったであろうこの日だが、あくまで目の前の人に向き合って精一杯歌うだけ。精一杯鳴らして、精一杯近くまで行って、自分自身を歌に込めるだけ。たったそれだけの「変わらぬWANIMA」だったが、変わらないのは、いつだって自分達が生まれて生きてきた道に誠実であるためなんだと伝えるようなライヴだった。痛みも傷も忘れないことで、一人ひとりが毎日を必死に生きていることを自分のことのように思える。だから、個々が寄り添って生きることを心から願える。そうして寄り添って生きる中で、自分の人生と日々に胸を張って行くために毎日に誠実に向き合うことだけが答えなのだと歌う“ANSWER”が本編のラストを飾った。3拍子の雄大なリズムが、今ここに集った人々すべてを巻き込むスケールで響き渡っていく。陽の落ちる寸前まで、キラキラと輝いて鳴り響いた「故郷の歌」。その温かさが陽の落ちる寸前まで鳴り響き、ひたすらキラキラと輝き続けていた。
Text by 矢島大地
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