2019.06.24 公開
最後は爽やかにステージを去ったRHYMESTERであった。
会場が暗転する。薄闇に沈むステージ。スポットライトが1人の女性を映し出した。光の中にいたのは広末涼子。
一瞬、どよめく観衆。しかし、ヘッドマイクをつけた広末がしゃべり始めると、スッとどよめきが消えた。
観客はアーティストの鏡というが、ゴスペラーズの観客は、5人に負けず劣らず、切り替えがうまい。
このような演劇と音楽を組み合わせた“シアトリカル(演劇)”スタイルは、ゴスペラーズがデビュー以降、活動のひとつの軸として来たものだ。ミュージカルとも違い、他に類を観ない、彼らオリジナルのエンターテインメントである。
『音楽ディレクター 永山多恵子の決断』というタイトルの劇。時は1968年。広末涼子演じる永山多恵子は、レコード会社のディレクター。自分の心が震える音楽との出逢いを求めていた。そこに現れたのが、ゴスペラーズ演じる5人組ヴォーカルグループ“ファイブ・オーシャンズ”である。自らが務めるレコード会社と専属契約にこぎつけ、
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