「静岡で平成最後のライブです! 最高の夜にしましょう!」という、吉井の高らかな開会宣言で口火を切った2日目はまったく違うセットリストが用意されていた。衣装も、メイクも、登場の仕方もすべて違う。1日目と同じ曲でも演出が変わった曲もあり、セットリストのどの位置で演奏されるかによって、楽曲が持つ意味合いも変わっていく。そこにイエローモンキーというバンドが持つ奥深さが浮き彫りになっていた。「毎日初日みたいです。どうですか? 50代になっても挑戦していくバンドです」と、吉井。いつまでも現役のライブバンドであるために、常に守りではなく、攻めの選択を重ねていくからこそイエローモンキーは進化し続けるのだ。
MCでは、アルバム『9999』について、「この後、どんどんスケールアップしたすごいアルバムを絶対に作ろうと思ってます」と、1日目と同じようにバンドの未来について熱い言葉で伝えると、さらに「こんなもんじゃありませんから! なんたって新人バンドですから!」と力強く付け加えて、会場を湧かせた。また、2日目に印象的だったのはそれぞれのメンバーが花道へと歩み出ていく場面が多かったことだ。なかでも吉井はフロアを縦横無尽に歩き回り、危険な香りを撒き散らしながら、巨大なアリーナ会場でライブハウスのようにお客さんに手を伸ばしていた。曲のなかで吉井がエマにキスをしたり、ヒーセが演奏に合わせて表情を変化させたり、アニーが立ち上がって渾身のフィニッシュを決める場面もあった。イエローモンキーが作り上げるライブは、一瞬一瞬がハイライトの連続だ。
2日目もまたイエローモンキーの歴史を語るうえでは欠かすことのできない名曲たちを数多く披露していくと、「一言で19年ぶりって言うけども、ほぼ20年なので。いろいろな記憶が曖昧になったりする。でも、こうやって曲をやっていくなかで、ふと忘れていたことを思い出したりして、感慨深いです」と伝えた吉井。そして、「どこまでできるかわからないけど、このバンドは僕の宝なので、みんなが元気でいる限り、我々しかやってないロックンロールをやっていきます」と宣言。「次は早めにアルバムを作ろうと思ってますよ。せっかく出来上がった筋肉を忘れないうちに」という言葉を残して、ライブを締めくくった。
今回のツアーに「GRATEFUL SPOONFUL」というタイトルを名付けた意味については、アルバム『9999』にちなんで、「1を足してもらうと、次の位にいくのかなと。GRATEFUL SPOONFULには“スプーン1杯”という意味があります。みなさんの心の1杯を、我々にいただけたらいいなと思っています」と、MCで説明していた。再び同じステージに集った4人と、各会場に訪れるお客さんと一緒に“心のスプーン”を満たしていく「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL」は、9月22日のツアーファイナル・グランメッセ熊本まで続いていく。静岡公演2Daysで見せたセットリストのほか、さらに今回は異なる2種類のセットリストがある。その内容も、まったく違う内容が用意されているとのことなので、ぜひ期待してほしい。
