テイルとドヨンの美声の掛け合いから始まる「Fly Away With Me」、電話のコール音やピアノの音色などを印象的に使った「Back 2 U (AM 01:27)」で、ここまで見せてきた力強く精悍な姿とまた違う感傷的な一面も見せると、映像を挟んでさらに奥深いNCT 127の世界を見せて行く。
衣装を近未来感のあるものから、黒に赤のラインが入ったパンツに、白シャツというシンプルなものに変えてステージに戻ってきたメンバーは、9分割された背面の枠の中に各々に入り、「City 127」を歌う。優しく温かみのある歌声で会場を包み込むと、さらに“君は僕の天使”と歌う「Angel」も歌唱。歌いながらメンバー同士でハグをしたり、肩を組んだりと仲の良さを見せつけつつ、客席の中の“天使”を探すようなジェスチャーも入れて甘い恋の歌を届ける。「実は、僕たちの優しい姿もお見せしたかったんです」と、ドヨンがこのステージに込めた思いを説明すると、都会の夜景のような映像とコラボしながら「Sun & Moon」まで歌い上げた。
マークのソロダンスから始まった「Dreaming」では、怪しげな雰囲気の漂う楽曲をセクシーな動きを交えてパフォーマンスし、また新たな引き出しを開く。続いて、NCT 127がダンスパフォーマンスだけでなく、ボーカル面でも高いスキルを持っていることを証明するブロックへ。「Timeless」をテイル、ジェヒョン、ドヨンの3人で、「No Longer」ではジョンウ、ヘチャンも加わり、それぞれの声の特徴を活かした極上の歌を紡ぐ。過度な演出は加えず、ただステージに立ち切々と歌い続ける姿が、さらに歌の感性を高め、聴く者の心へと歌を浸透させて行く。NCT 127といえば、ダンスやラップなどがイメージとして沸くが、このボーカルラインがしっかりと基盤を支えているからこそ、さまざまな表現ができるのだと改めて実感する。
写真:田中聖太郎写真事務所 画像 10/15
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ジャニーがピアノで奏でる「Regular to Irregular」から、ライブはさらなるNCT 127の深淵へと導かれる。白シャツの上から赤と黒のジャケットを羽織ると、メンバーは一人ずつ花道を歩きながらセンターステージへ。9人が横一列に並び、ステージが真っ赤な光で照らされ「Regular」が始まる。Billboard 200にもランクインし話題となったアルバムのリード曲でもあり、ラテンの要素も入った独特な世界観のある楽曲。ステージのスクエア部分が上昇して回転を始めると、メンバーは四方を正面にパフォーマンスしたりと、アレンジも加えて見せる。そして続く「Wake Up」では驚きの連続技のようなステージが展開。9人が並ぶステージのスクエア部分が再び上昇すると、急に傾いて床面が坂のような状態となる。その傾斜でパフォーマンスをし、そのあとはメインステージへと戻る。するとそこには複雑な形をしたジャングルジムのようなオブジェがあり、それに登ったメンバーたちはポールと絡み合いながら、巧みなフォーメーションを見せる。曲のリズムに合わせ、まるでスロットの数字がパラパラと変わって行くような勢いで、居場所を変えて行きながら、キメの部分ではきっちりと動きを合わせる。誰か一人でも動きや動線を間違えたら、ぶつかったり絡まったりしてしまいそうなギリギリのラインを攻めるパフォーマンスは圧巻。まさにステージに目が釘付けとなってしまう。
「Baby Don’t Like It」では、マークが口に指を当て「シー」というジェスチャーから曲が始まると、メンバーはオブジェやメンバー同士で絡み合ったり、寝転んでみたりとセクシーな動きで観客を誘惑する。彼らがこんなに艶っぽいパフォーマンスもできるとは知らなかった。さらにアウトロでのテヨンのソロダンスから、ジェヒョンのソロダンスとつないで「Mad City」へ。テヨンとマークのラッパー同士のスキルの見せつけ合いが繰り広げられる。特に二人で合わせてラップするときの息の合い方が驚異的で思わず唸り声をあげてしまった。とにかくこの中盤のブロックは、NCT 127の底知れない魅力に驚かさればかりだった。
映像を挟み、ユウタ、ジョンウ、ヘチャンのソロダンスから再開した後半戦。衣装をそれぞれデザインの違うカラフルでラフなストリート風のものに着替えて登場。「Good Thing」を軽やかなステップを踏みながら、服装とおなじようにラフなスタイルでパフォーマンスする。NCT 127の新境地とも言われたポップで軽やかな楽曲「TOUCH」では、観客も一緒になって歌う場面も。彼らの楽曲はAメロ、Bメロ、サビのようなわかりやすい構成の曲が少なく、それだけにこれまでに見たことのないカッコいいパフォーマンスができるだが、一方で、一緒に歌うという曲は少なめだったりもする。それだけにこの曲ではまさに会場が割れんばかりの大合唱が起こり、歌うメンバーの顔にも笑顔がのぞく。韓国では“ジェットコースター”というタイトルがついている「Heartbreaker」では、まるで遊園地にあるアトラクションのように傾きながら回転するステージの上にスタンドマイクを立て、途中、メンバー同士でいたずらをし合ったりもしながら、楽しい雰囲気に。そのまま「Replay (PM 01:27)」へとつなぐと、メンバーも観客とおなじペンライトを持って広いステージを走りまわり、リズムに合わせて一緒に手を回したり、ジャンプしたりとはしゃぐ。曲の後半には銀テープも発射され、会場の一体感は頂点に達した。
