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親、スタッフ、そしてファンの支えを〝宝物″として受け取り、それを音楽に込めて届けたいと切々と語り、名バラード「Tonight」を披露。1番はピアノ弾き語り、2番はバンド全体で。清らかなファルセット、心の起伏を表わしたような強弱のメリハリが効いた、エモーショナルな演奏。母、父への感謝が歌詞に綴られているが、もっと広く、愛を注いでくれたすべての存在へと捧げる返礼の曲として心に響いた。
アンコールは、まずメンバー3人だけで登場。「僕らが祝われてばかりでも何なので、僕らからもプレゼントを」(杉本)との言葉から、告知を2つ。1つ目は、今年3月に『夢工場ラムレス』で小説家デビューを果たした河邉の新作『流星コーリング』の第3章と、小説を元にして映画のサントラのように楽曲を紡いでいく〝流星コーリングプロジェクト″第三弾シングル「Loop the night」が、12月4日0時に配信スタートすること。
2つ目は、2019年の3月6日、アルバム・小説共に新作『流星コーリング』を発売するのと同じ日に、2枚目のベストアルバム『ID2』をリリースする、ということ。過去を受け止めて慈しみ、未来へと一歩を踏み出すWEAVERの新章が間もなく始まる、といううれしいニュースである。既に発表されている2019年3月の東名阪ツアー『WEAVER 14th TOUR 2019 「I’m Calling You~流星前夜〜」』でのファンとの再会を願いながら、1st STAGEは「最終バス」を3人だけの編成で披露。三者三様にジャジーな遊び心を感じるプレイで、一音一音が味わい深く、表情豊か。<見上げた〝Billboard″の星空が>と歌詞を変え、この日、この場所ならではのひと時を演出した。
2nd STAGEは「Just one kiss」を披露。タイトルコールだけで悲鳴とどよめきが上がり、沸き立つ会場。ロマンティックな歌詞が甘い歌声で響き、ファンへ贈るラブレターのように聞こえた。1st、2ndいずれも、演奏を終える時は3人で顔を見合わせ、呼吸を確かめ合っていた様子も印象深かった。
最後は再びサポートメンバーを招き入れて、「Shall we dance」で大いに盛り上げた。2ndステージではイントロで楢崎が「ハッピーバースデー」を奏で始め、ケーキが運び込まれてお祝いタイムが繰り広げられた。ストリングス隊も加わって「ハッピーバースデー」が演奏される中、3人の写真が描かれたケーキのロウソクを吹き消した杉本。好奇心旺盛な河邉がわざわざドラムセットから離れてケーキを見に来ていた様子が微笑ましかった。
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「いやぁ…もう、幸せです! ほんまありがとう! 3人よ? 3人!」と杉本はメンバーを指し示し、自分だけではなくWEAVER全員の30代突入祝いであることを改めて強調。
河邉から「30歳になってどうですか?」と尋ねられると、「『音楽、楽しいなぁ』と最近、思っていて。紆余曲折してきたんですよ、僕たち。でもやっと一つになれて来てる。自分たちのやりたいことができていて、〝何か″を起こしていきたいと思ってる」と杉本。まだ発表できないこともあるが、メンバーでそう話し合っている、とも明かした。
「これからもどうぞよろしくお願いします! Billboard! 僕たちが見たいと思ってる夢が近付いてくるような、そんな景色見せてもらえますか?」と語り掛け、ステージと客席とが一体となった時間がスタート。音と音とのキャッチボールを絶妙な呼吸感で繰り返し、生み出されて行ったグルーヴは生命力に満ち溢れる力強さがあった。
30代の初日として最高の幕開けを飾った、Billboardでの2公演。12月31日には地元神戸で、『WEAVER×VARIT. Presents「WEAVING ROOM FINAL~COUNTDOWN LIVE 2018→2019~」も開催する。10周年を迎える2019年のWEAVERは、2018年に積み重ねた実験や試行錯誤を糧に、より充実した活動を繰り広げていくに違いない。そう確信した一夜だった。
(取材・文/大前多恵)
■セットリスト
M01 Opening
M02 トキドキセカイ
M03 Stay
M04 Hard to say I love you〜言い出せなくて〜
M05 アレンジ(クリスマスソング)
M06 ふたりは雪のように
M07 Lupin
M08 Wake me up
M09 だから僕は僕を手放す
M10 Another World
M11 Tonight








