「最後まで伝えます」というひと言から“手紙返信”へ。太志の声が震えている。かすれている。必死にメロディを、まるで思いを削り出すように紡いできた大切な言葉のひとつひとつを、大事に置いていく。
ついにやってきた最後の瞬間。「俺たち5人より優しかったみんな。またどこかで元気な顔で会えるように。みんなで思い切り明るい1曲にしよう」というMCから始まったのは、“虹”だった。
「大丈夫だよ/見上げればもう/大丈夫ほら/七色の橋」———この絶対のポジティビティは、「誰もが孤独を抱えながら生きている」という事実から、決して逃げることなく歌い続けるという覚悟と決意から生まれたいたんだ、ということが今、この日、あらためて伝わってくるようだった。ひとつになった会場を、ぱっと照らされた客電が照らし出す。お客さんひとりひとりの顔は涙に濡れ、そして誰もが美しい笑顔を見せている。
「みんなほんとにありがとう!」と、からした喉をさらにからした太志が叫び、Aqua Timezのファイナルライブ「last dance」は幕をおろした。そして、Aqua Timezが刻んできた13年の歴史はその歩みを止めた。
偉大なバンドだった。誰もがひとりひとりはバラバラであること。そんな当たり前のことから目をそらすことなく、しかしだからこそ、ひとつになるんだ、そのために歌うんだ、と強く叫び続けてきた。「誰しもを同じように肯定し、包み込むために」———。だからこそ、彼らのメロディは何より優しく温かいものでなくてはいけなかったし、その言葉は絵本のように伝わりやすく、誰しもに伝わるように多くの感情が込められたものでなければならなかった。そして、5人はそのシンプルな、だが究極的なテーマに13年、逃げることなく向き合ってきた。そして、その止むことのない戦いの積み重ねが5人を連れてきたのは、この日「5人よりも優しい」13,000人が集まった満杯の横浜アリーナだった。
感動的な、忘れがたいライブだった。ポップミュージックに絶対の肯定という大切な役割を思い出させたバンド、Aqua Timez。繊細でどこか脆い、しかし、「伝えるべきこと」を絶対に手放さなかった偉大なる5人。彼らの戦いが生んだたくさんのメッセージはこれからも消えることはなく、多くのリスナーの日々を肯定し続け、支えていくのだろう。
掛け値なく素晴らしいファイナルライブ「last dance」だった。
