観客はすぐさま、 アンコールをねだる手拍子を打ち始めた。 白いシャツでさわやかに再登壇した平井は、 清らかなピアノの調べに乗せて「Ken's Bar」のテーマ曲とも言える「even if」を語りかけるように歌った。
「23年歌ってきて本当に良かったと心から思います。 愛ある人生を」とメッセージを送りながらも、 「次は失恋の歌なんですけどね」と笑いを誘う。 格好つけきれない、 照れ屋な感じもまた、 平井が愛される理由かもしれない。 失ったものを淡々と数えるようにポツリポツリと歌う「half of me」。 人を好きになったことがある大人なら、 誰もが胸の奥が甘美な痛みで疼いたことだろう。
温かな拍手と歓声に包まれて、 深々と頭を垂れた平井。 最後の最後に、 マイクを通さず「今日はありがとうございました」と感謝を直に伝えた。 そんな実直な男の歌だからこそ、 聴き手を惹きつけ涙させ、 そして癒せるのだろう。
終演直後の楽屋では、 この日の思いを語る映像も収録された。 その表情は無事に終えた安堵感と終わってしまった寂しさが混在しつつも、 充実感にあふれていた。
「Ken's Bar」という唯一無二のライブスタイルを築き上げ、 様々な場所で多くの人々と感動を共有してきた平井。 長い年月をかけて熟成したヴィンテージワインのように、 彼の愛するニューヨークで「Ken's Bar 20th Anniversary Special!! Premium Live in NY」は芳醇な香りを放った。 平井堅というアーティストの、 過去、 現在、 未来をも感じさせるスペシャルなライブを是非、 じっくりと味わってほしいものだ。
【番組情報】
平井堅 Ken's Bar 20th Anniversary Special!! Premium Live in NY
2018年10月21日(日)よる9:00~WOWOWライブで放送
→詳細は番組オフィシャルサイトへ
【番組オフィシャルサイト】
https://www.wowow.co.jp/hiraiken/