これは「大森靖子プロデュース」ではない。
長らく男のプロデューサーと若い女の子の「先生と生徒」「親と子」のような絶対的な関係性の中で爛熟してきた日本のアイドルカルチャーが、この一、二年、大きな岐路を迎えている。それはしかし「ブームの衰退」ではなく、「一度完成したもの」が新しいものに姿を変える必然的な変化の時期だ。
「ZOC」が見せるのは、自我のない女の子たちを大人たちが育てて行くこれまでのアイドル文化とは逆ベクトルの、女の子たちが、自分のなりたい自分に向かって自立してゆく物語。
大森靖子は言う。
「Don’t プロデュース。私はメンバーでもあり、プロデューサーでもあり、同志でもある。一言でいえば、共犯者です」
最新アルバム『クソカワPARTY』収録曲「ZOC実験室」のMVともに披露された共犯者/メンバーは、大森靖子を含めた7人。
うち、5人は、”女の子らしさ”というつまらない固定概念に背を向け”一人一人の持つ可能性”に目を向けたオーディションプロジェクト「ミスiD」の出身者。大森靖子も2014年から選考委員を務めている。
ZOC 001 藍染カレン/赤/毎夜ぼっちで踊ってた熊本のワンルーム・ロンリーダンサー。ミスiDの最終面接、℃-ute「都会っ子純情」のダンスで爆発し、選考委員を震撼させた。ミスiD2018 大郷剛賞。
ZOC 002 戦慄かなの/水色/自らの実体験を元に児童虐待に対するNPO法人「bae(ベイ)」を立ち上げ、コラムを書き、華麗に踊る、少年院帰り。各方面でブレイク寸前の戦慄のドールフェイス。ミスiD2018 サバイバル賞。
ZOC 003 香椎かてぃ/紫/絵を描くことと踊ることに人生を救われた、孤高の横須賀バカヤンキー。絵は「ニューヨーカーの挿絵のよう」と評されるハイセンス。ミスiD2017 大森靖子賞。
ZOC 004 西井万理那/オレンジ/現在活動休止中の二人組ユニット「生ハムと焼うどん」として、「完全セルフプロデュースアイドル」をうたい、2016年には誰もが無理と笑った3000人規模のTOKYO DOME CITY HALLワンマンライブを成功させ、その後、活動休止を発表。栄光と挫折を経験し、常識にひれ伏さない女。ジャニオタ。
ZOC 005 葵時フィン/黄/家計を助けるため青春をバイトに捧げる最年少16歳。ミスiDスタッフとして参加してた「ビバラポップ」でステージを鑑賞中、突如「アイドルやりたい!」と閃光に打たれる。ミスiD2019 挑戦中。


