2021.02.10 公開
【インタビュー】サカクラカツミが、葛飾北斎を題材にした主演舞台『The Life of HOKUSAI』を語る! 世界で活躍するパフォーマーが、天才絵師から学んだこととは?

The Life of HOKUSAI(提供写真)  画像 1/4

世界で活躍するパフォーマー・サカクラカツミが主演を務めた舞台『The Life of HOKUSAI』。新型コロナウイルスの影響で無観客となる舞台公演が行われた本作が、映像作品として全世界に発信されることが決定。本作品の完成を記念して、WWSチャンネルでは主演のサカクラカツミにインタビューを実施。本作制作に至った経緯から、舞台制作の中で感じた葛飾北斎への想いなどを聴いた。

【写真】サカクラカツミが、『The Life of HOKUSAI』を語る!(4枚)


 

―今回サカクラさんが主演を務めた『The Life of HOKUSAI』はどんな作品になっていますか?

今回の舞台は、葛飾北斎の半生を描くというのが根底にあります。北斎は90歳で亡くなったのですが、亡くなる直前までものすごく精力的に素晴らしい絵を描いていて、年を増すごとに素晴らしいものになっていくんです。北斎の実力が世間から認められるのも50歳を過ぎてからなので、実は遅咲きの画家で。そして、私も今57歳なので、ちょうど北斎が絵師として活躍している時と同じような年齢だなと思い、私が北斎の半生を描くということでスタートしました。もちろん私も、葛飾北斎が描く絵は知っていたのですが、調べれば調べるほど、考え方や日常生活でやってしまうことなど、北斎と私の共通点が多くて。そこからどんどん葛飾北斎という人物に引き込まれていきました。北斎って絵の中にいろいろな謎を残しているんです。自分が大好きなものを隠して絵の中に入れたりしているんですね。例えば北斎は、自然宗教のような形で北斗七星と富士山を信仰の対象にしていて、その二つが絵の中に隠して入れてあったりとか、風景画でもポツンと描かれている数人の人を結ぶと北斗七星の形になったりするんですよ。そういうのを見ていて面白いなと思うと同時に、いろいろな資料を見ていくうちにある一つの謎が出てきたんです。北斎は龍をモチーフにした絵をたくさん描いているのですが、普通なら龍は宝珠という願いが叶う水晶玉のようなものを手に持っているはずが、北斎が描く龍はどれもその宝珠を持っていなくて。これは必ず何かしらの意味があって、あえて描かないようにしているんだろうなと思い、その謎を解き明かしたくなってどんどんのめり込んでいって。北斎は結局絶筆で描いた龍にすら宝珠を握らせていないんです。ただ、それ以前に北斎が描いた龍はすごく怖い顔をしているんですけど、最後に北斎が描いた龍は優しい顔をして天を見上げている。それを見た瞬間、北斎のメッセージに気がついたんです。それが今回の舞台の骨子になっています。北斎が絵の中に託した大切なメッセージを解き明かし、それを私たちがダンスや歌、日本の伝統楽器で表現して世界に届ける、そんな作品になっています。

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―そんな中でもサカクラさんが葛飾北斎に興味を持たれた一番のキッカケは何だったのですか?

北斎には奥さんがいたんですけど、29年連れ添った時に急に亡くしていて、実は私も今結婚して29年が経つんです。私は片付けができなかったり、電車もちゃんと乗り継げないような、北斎と同じ社会性が少し欠けている人間で。それを私の奥さんはずっと支えてくれていて、私がダンスパフォーマンスが上手くいっていなかった時は彼女がすごく働いてくれたし、北斎も絵が上手くいかない時は奥さんがちゃんとお金を工面してくれていたり、そういった共通点をすごく感じました。私は奥さんのことを大事にはしていると思うんですけど、「いつもありがとう」だったり、「愛してる」などそういった言葉ってなかなか言いづらいし、直接伝えてこなかったんです。だけど、もし今彼女が急に亡くなったらどうするんだろうと、北斎の生き様を見て考えたんです。今私は何をすべきかということを北斎から学ぶべきだろうなと思ったんです。そこで私が真っ先にやったことが、奥さんに気持ちを一生懸命伝えることで。それをしたら彼女もすごく変わったし、この舞台を観てもらった人にも大切な人に気持ちを伝える大切さを感じて欲しいんですよね。それがこの舞台を通して一番伝えたいことではあります。

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