指原莉乃がプロデュースを手がけるアイドルグループ≠ME(ノットイコールミー)。
6月7日(土) 神奈川県・ぴあアリーナMMにて開幕した≠ME 全国ツアー2025「We want to find カフェ樂園」のツアーファイナル公演が、7月21日(月・祝)東京都・国立代々木競技場 第一体育館で開催された。公演は昼夜2公演にわたっておこなわれ、合わせて1万8千人を動員した。


今回のツアーコンセプトは、海を舞台とした大冒険。ツアータイトルの一部にも掲げられているカフェ樂園という名の人類最後の桃源郷を目指して、ステージに設置された巨大船に乗り込み冒険に出るというコンセプチュアルな内容となっている。
ツアー開幕の神奈川県・ぴあアリーナMM公演では、アリーナならではのスケール感を活かした演出が展開されたが、その後の各地のホール公演では構成を変更し、会場の特性に合わせたホール仕様の演出が取り入れられた。
そして21日のツアーファイナルでは、再びアリーナ仕様の演出に戻り、船がムービングステージとして登場。まるで全国を巡った船が、旅を終えて帰ってきたかのような演出で、物語の締めくくりにふさわしいステージとなっていた。
ライブは4月にリリースした両A面シングルの一曲『神様の言うとーり!』で幕を開けた。冒頭、センター・冨田菜々風のソロパートで観客の視線がステージ上に集まるなか、開演直前に場内に運ばれていた木箱からメンバーが登場するというサプライズ演出も。続く『最強のラブソング』はコール&レスポンスで会場内の一体感が生まれ、ラストサビでは冨田の「行くぞー!」という掛け声とともに≠MEを乗せた船がゆっくりと前進した。『夏が来たから』『君はこの夏、恋をする』と夏曲が続いたあと、『P.I.C.』で会場の雰囲気は一変。スクリーンには雷鳴が轟く荒れた海が映し出され、赤と緑のレーザーが空間を切り裂くように交差し、一瞬で闇に包まれた幻想的な世界が広がっていく。まるでSF映画のような世界観あふれる演出の中、蟹沢萌子と冨田菜々風が船上で赤と緑のライトセーバーを振りかざしながら力強く踊る姿に、観客の視線は釘付けに。改めて≠MEの表現力の幅広さを印象づける圧巻のパフォーマンスであった。

続いてのブロックでは、ツアー各地で1公演につき1曲ずつ披露されてきたユニットシャッフル楽曲が、ツアーファイナルならではの特別演出としてメドレー形式で披露された。王道アイドルソングからダンスナンバー、ロックテイストまで、≠MEの多彩な楽曲を存分に楽しめる構成であり、各楽曲が流れるたびに会場からは割れんばかりの歓声が湧き上がる様子から、≠MEの楽曲がいかに愛されているかがひしひしと伝わってきた。
航海の中で数々の困難に立ち向かい、遂にカフェ樂園にたどり着く様子が映し出された幕間映像が終わると、永田詩央里をセンターに据えた蟹沢萌子、冨田菜々風の3人ユニット曲『カフェ樂園』が披露され、曲のラストではメンバー全員がクラシカルなメイド服に身を包み登場。続いてユニット曲の『サマーチョコレート』『ウルトラレアキッス』を全員で披露するというスペシャルバージョンのライブも展開され、会場の盛り上げを加速させていく。
上品なグレーの衣装を身に纏い再登場した≠MEが続いて披露したのは、シンデレラにはなれないモブの心情に寄り添ったミディアムバラード調の最新曲『モブノデレラ』。本楽曲はツアーのセットリストの中でも重厚感がある楽曲であり、多くの観客が息を呑み聴き入っていた。誰しもが抱える劣等感や虚無感にあえて目を向けたこの楽曲のメッセージが、リリースから約3か月が経った今も多くの人の胸に響き続けていることを肌で感じた。
その後、『秘密インシデント』『す、好きじゃない!』『はにかみショート』『初恋カムバック』『まほろばアスタリスク』と楽曲を続けて披露し、船でアリーナを行き交いながら観客の近くでパフォーマンスを届け、ラストは永田詩央里がセンターを務めた楽曲『ごめん、マジで』で本編を締めくくった。

アンコールは『ヒロインとオオカミ』からスタート。「ちゅるりら ぱぴぷ」というキャッチーなワードの大合唱で場内は多幸感で包まれ、続く『君はスパークル』でエモーショナルさがMAXになる一方、≠MEと共に巡ってきた航海の終わりにどこか寂しさが漂っていた。そんな中、MCパートでは9月20日(土)、21日(日) 千葉県・LaLa arena TOKYO-BAYにて≠ME 全国ツアー2025「We want to find カフェ樂園」追加公演の開催がサプライズで発表された。航海がまだ続くことに会場中に歓声が響き渡り、蟹沢は喜びの思いを「私たちの終わりたくない気持ちが届いてしまったかのように、ありがたいことに追加公演が決定しました!初めての会場ですけど、みんな、ツアー終わらないよ!!皆さんがこうやって足を運んでくださったり、配信を観てくださる方がいるからこそ私たちが走り続けられるので、9月に皆さんとの約束一緒に作ってくれますかー!カフェ樂園の秘密解明してくれますかー!皆さんとの思い出を作れること、楽しみにしています!」と語る。これからの≠MEに更に期待が高まるなかで、最後は『ラストチャンス、ラストダンス』で幕を閉じた。

アンコール終了後も歓声は止まず、その声に応えるようにダブルアンコールが実現。本ツアーでは未披露だった≠ME初のオリジナル曲『≠ME』を動画撮影OKで披露し、この日一番の歓声が轟く。最後は冨田が一人ステージに残り、「次の場所まで…出航――!」とファンと声を合わせて喜びを分かち合った。
