2021.11.01 公開
【ライブレポート】櫻坂46、改名後初の全国アリーナツアー完遂! 日本武道館で「1st YEAR ANNIVERSARY LIVE」も発表

『櫻坂46 1st TOUR 2021』 ライブの様子 Photo by 上山陽介  画像 1/23

櫻坂46初の全国ツアー「1st TOUR 2021」最終公演が10月31日、さいたまスーパーアリーナにて開催された。

昨年10月の結成以降、新型コロナウイルスの影響でなかなか有観客ライブを実施できなかった櫻坂46だが、今年6月の「BACKS LIVE!!」および7月の「W-KEYAKI FES.2021」にてようやく有観客公演が実現。休養中の小林由依を除くメンバー24人で、9月11日の福岡・西日本総合展示場を皮切りに全国4会場9公演を行った。

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ツアーを締め括るさいたまスーパーアリーナ公演の最終公演では齋藤冬優花、菅井友香、土生瑞穂の影アナに続いて「Overture」でライブに突入。続いてスクリーンに、アクション映画を彷彿とさせるシリアスな映像が流れ、観る者の期待を煽っていく。そして、ステージから眩い照明が放たれる中にメンバーが続々と姿を現し、エレベーターに乗った映像にあわせて森田ひかるがステージの床から登場。祝祭の始まりを思わせるけたたましいブラスサウンドとともに、センター森田の「さいたまスーパーアリーナ、いくぞ!」を合図に「Dead end」からライブが本格的にスタートする。ステージ前方から火花が吹き上がる中、色とりどりの衣装を着たメンバーは楽曲に沿った激しいダンスで観る者を魅了する。続く「Plastic regret」ではセンターの藤吉夏鈴を中心に、しなやかなダンスと切なげな表情で緩急を付けて楽曲を表現。さらに、激しく点滅する照明を背に1列に並んだメンバーが華麗に踊るダンストラックを経て、山天をセンターに据えた「半信半疑」ではダイナミックさの中にも柔らかさが見え隠れするパフォーマンスで、ツアーの成果をしっかり提示した。

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最初のMCでは、キャプテンの菅井友香が「タオルとかペンライトが本当に励みになっています」と挨拶。続いて渡邉理佐は「地方でいただいたパワーをここですべて出し切って、全員で楽しみ尽くしたいと思います」、2期生で副キャプテンの松田里奈は「いよいよ最終日。寂しい気持ちもあるんですけど、ライブが終わるまでの時間を日本で一番、世界で一番熱く楽しい時間にしましょう!」がそれぞれ意気込みを語った。
「Microscope」でライブを再開させると、センター藤吉を中心に円を作ってパフォーマンスを繰り広げる。曲中では藤吉が転がした大玉がほかのメンバーのアクションに連鎖していくという、巨大なステージを使った演出を展開。シリアスなナンバーから軽やかなポップチューンまで楽曲の幅が広いこともあり、ライブの見せ方や演出のバリエーションに可能性が感じられるのが、櫻坂46の魅力のひとつ。特に今回のツアーではステージ上のタワーやベランダ、上下降するリフト、アリーナ後方のサブステージやそこへ移動する際に使う電飾付きトロッコ、「思ったよりも寂しくない」でのキャンプファイヤーなど、楽曲が持つ個性をより深める演出が多数用意された。
かと思えば、「偶然の答え」披露前にはバルコニーをひとり歩く藤吉の前で、傘をさした渡邉理佐と2期生の大園玲が華麗なダンスを舞い、「ブルームーンキス」の前には森田がコンテンポラリーダンスを披露、さらに「それが愛なのね」後には菅井と山がパーカッシブなサウンドと強烈な照明の中、各々の技量の高さを示すペアダンスを見せるなど、パフォーマンス力の高さを改めてアピールする場面も豊富に用意。楽曲中に見せるダンスとはひと味違った、独特の世界観が繰り広げられた。


また、ツアーファイナルとなるさいたまスーパーアリーナ3公演では、最新シングル「流れ弾」収録の新曲「ソニア」を初披露。1期生の小池美波をセンターに据えた、“櫻エイト”(各フォーメーションで1、2列目に立つメンバー8人)を除くバックスメンバー17人によるパフォーマンスからは「BACKS LIVE!!」などでの経験が大きな自信につながっていることが伝わる、堂々とした歌とダンスを堪能することができた。櫻坂46の楽曲の中でも特に爽快感の強いこの曲は、今後のライブでも欠かせない1曲になりそうだ。
ライブ終盤では白地に淡いグリーンが施された衣装のメンバーたちが、「Nobody's fault」「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」「Buddies」と1stシングルからの楽曲を連発。結成2年目に突入したこともあり、1stシングルの「Nobody's fault」では以前よりも逞しさが増したパフォーマンスで“Buddies(=櫻坂46ファンの総称)”を圧倒させる。また「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」では、天井から垂らされた長い布を使い、中心にいる藤吉に絡み付けるという同曲のMVを彷彿とさせる演出で、観る者の目を釘付けに。さらに「Buddies」ではトロッコを使って客席間を移動しながら、ステージから遠い席のBuddiesに視線を送ったり手を振ったりする中で、山が「次に会うときは、もっともっと大きなグループになっていることを約束します!」とポジティブなメッセージを贈った。
1stシングルからの3曲を終えると、ステージ後方に巨大な桜の木が登場し、ペンライトにより会場中が真っ赤に染め上げられる。すると、ライブのクライマックスにふさわしいアップチューン「BAN」に突入し、メンバーのアグレッシブなパフォーマンスで会場の熱量をさらに高めていく。サビでは桜の花びらをかたどった紙吹雪がステージ中に舞い散り、楽曲の世界観に華を添える。そして、スクリーンに冒頭の映像の続きが映し出され、メンバーのスマホに「ミタゾ」のメッセージが次々と着信。誰からか送られたメッセージに不安を隠せない櫻エイトだが、最後に拳銃を構える2期生の田村保乃がステージに姿を現し、一発放ったところで本編ラストナンバー「流れ弾」がスタートする。黒いMV衣装に着替えたメンバーは、この日一番の爆発力で激しいダンスを披露。曲中では不敵な笑みを浮かべる場面もあり、改めて彼女たちの身体能力の高さや表現力の豊かさに驚かされる。曲後半では火花が吹き上がる派手な演出も加わり、クライマックス感を煽ることに。パフォーマンスを終えると、田村が再び拳銃を手にし、空に向けて一発放つとメンバーはステージをあとにした。その後、スクリーンには映画さながらのエンドロールが流れ、ライブは一旦終了する。

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興奮冷めやらぬ中、アンコールは渡邉理佐センターの「無言の宇宙」から開始。ステージ後方まで広がった星空のような照明演出を背に、和装風のMV衣装を身に纏ったメンバーは、繊細さを伴うダンスで華麗さを表現。サビではスクリーンに花火も打ち上がり、穏やかな中にもエモーショナルさが感じられる世界が展開された。
最後のMCでは、メンバーが次々にライブの感想を口にしていく。藤吉は「やっと(観客と)対面してライブすることができて、すごくうれしいですし、ファンの皆さんの温もりが直に感じられて幸せです」と語り、田村は「初めて櫻坂46でこうしてツアーを回ることができて、地方での皆さんの姿がすごく鮮明によみがえってきて……すごく皆さんに支えられているなと思いました」と瞳を潤ませながら心境を吐露。続けて菅井が「これからも皆さんと素敵な景色をたくさん見ていきたいと思います」と観客に告げると、12月9日、10日に「1st YEAR ANNIVERSARY LIVE」が日本武道館で開催されることをサプライズ発表。欅坂46からリスタートして、1stシングルのリリースから1周年を記念するこのライブに向けて、菅井は「成長した姿をお見せしたいですし、これからの櫻坂46に期待したくなるライブにしたいと思います」と意気込みを語った。
そして、3rdシングルでの活動を持ってグループを卒業することになった1期生の守屋茜と渡辺梨加がそれぞれ挨拶。守屋は「こうやって見ている景色もどの瞬間も、これから先の私にとって支えになるであろう大切な経験であり、大切な思い出です。『ANNIVERSARY LIVE』は私にとってアイドル人生最後のライブ。このライブは皆さんに感謝と愛を伝えられたらいいなと思います」、渡辺は「ツアーは今日で最後になりますが、『ANNIVERSARY LIVE』があるので、まだまだ皆さんとたくさん楽しい思い出を作っていきたいです」とそれぞれ思いを伝え、これを受け菅井は「最後までかけがえのない時間を皆さんと過ごせたらと思います。そして、ゆいぽん(小林由依)も必ず帰ってくると信じているので、またみんなで集まれる日を楽しみにしたいと思います」と決意を口にする。さらに「このツアーが始まるとき、メンバーみんなと目標を立てました。ひとつは久しぶりにお会いできるBuddiesの皆様、そして初めて観てくださる皆様に櫻坂46のパワーを思い切り伝えること、もうひとつはこのツアーを通してチームワークを高めること」と明かし、1期生や2期生、新2期生の成長を伝えつつ「これからの櫻坂に可能性を感じることができました」と締めくくった。
笑顔ですべての思いを伝え終えると、本公演および初の全国ツアーを締め括る1曲「櫻坂の詩」をメンバー24人で歌唱。桜色のペンライトで染まった客席を前に、メンバーは優しい笑顔や感動の涙を浮かべながら、会場のBuddies、そして配信で観ている多くの視聴者に感謝の気持ちを歌で伝えていく。会場中が温かな空気に包まれたところで、2時間半にわたるツアー最終公演は幕を下ろした。

櫻坂46としてのここまでの経験が集約された今回のツアー。グループとしての個性が少しずつ固まり始めた彼女たちが、活動2年目にどんな飛躍を遂げるのか。12月に開催が決定した「1st YEAR ANNIVERSARY LIVE」を含め、今後の活躍に期待していただきたい。

(文/西廣智一)

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