「松井珠理奈卒業コンサート@日本ガイシホール〜珠理奈の卒業で何かが起こる!?」(C)2021 Zest,Inc. / AEI 画像 8/10
白いドレス衣装に着替えた松井が再びステージに帰ってきた。次なるスペシャルゲストとして卒業生の矢方美紀を呼び込む。矢方は3期生としてグループ加入し、卒業直前はチームSのリーダーを務めていた。「みきてぃとは実は交流があって、一緒にご飯を食べに行ったり、ジムが一緒だったりとかね」と卒業後の関わりを明かした松井。矢方は「卒業してから4年経って、まさかステージに立てるとは思ってなかったので嬉しいです」とサイリウムが灯るガイシホールの光景を目に焼け付けた。「久々にみきてぃのギター聞きたいな?」と、松井のリクエストで矢方のギター演奏に乗せて『不器用太陽』をセッション。歌唱前には松井のフリで、現役当時の矢方のキャッチフレーズも飛び出し、会場からは拍手が贈られた。
2人だけのセッションを終え矢方は、「今日このステージに立つ事が全然想像できなかったんだけど、1期生が同じステージに出てみんなで喋ってるのを見た時に、当時のガイシホールのステージとかいろいろ思い出して」と現役メンバーだった頃をを懐かしみ、「時の流れは戻せなくて未来に進むだけだけど、こんなにたくさんの方がおじゅりを見守って温かい気持ちで応援しているので、私もいっぱい一緒にご飯を食べて、ジムに行ったりして、たくさん思い出を作ろう」と誘う。松井も「卒業したらいっぱい楽しい事をしよう」と約束した。「人生はこれからだからね。幸せになりましょう」と言った矢方の一言に、「これ以上の幸せはあるのかなって思っちゃうんだ。SKE48に入っちゃったから」と一筋の涙を流す松井。それを見て矢方も「みんな温かい気持ちで応戦しているから、これからも変わらず見守っていくよ」と優しく語りかけた。
卒業コンサートも終盤を迎えラストスパート。「私たち1期生の大切な曲を歌ってくれた子たちです!」と松井に紹介され、ステージに飛び出してきた6期生7人は『ごめんね、SUMMER』を歌い、再び会場のボルテージを上昇させた。振り返れば6期生がデビューして最初のコンサート会場が日本ガイシホールだった。出番も少なく『隣のバナナ』のバックダンサーでの出演しかなかった頃から、自分たちの声を、ダンスを、歌に乗せてコンサートで届ける光景は涙せずにはいられない。鬼頭未来の流暢な英語での紹介に驚かされた『賛成カワイイ!』は9・10期生によるパフォーマンス。コールアンドレスポンスの場面では青海ひな乃による痛快な煽りが炸裂。煽りのバトンは古畑奈和が引き継ぎ、両手を大きく挙げながら『バンザイVenus』を熱唱した。終盤にかけての怒涛の追い込みに胸の高鳴りが最高潮に達する。声を出せないのはもどかしい。だが、そんなことは気にならない程に夢中にさせてくれるパフォーマンスはSKE48でなければ感じられない。『大声ダイヤモンド』で松井はトロッコに乗車し、ステージの周りを一周。ファンからの「好き!」の気持ちを全身で受け止める。
本編最後のMCで、松井は今日のコンサートを振り返り、「いつもセンターで歌ってるとね、みんなのパワーを横からも背中からもすっごい感じるの。そのおかげで自分もパワーを出せているからすごい幸せだった。みんなが幸せにしてくれたんだね。ありがとう。嬉しかったよ」とメンバー達を見つめた。そして、ここで卒業生の佐藤すみれがゲストとしてステージに登場。昨年12月に結婚と妊娠発表をした佐藤は松井と互いに結婚と卒業の「おめでとう」を交わし合った。ここではビデオメッセージが会場のモニターに上映され、海外48グループをはじめ、STU48の瀧野由美子、AKB48卒業生の小嶋陽菜、高橋みなみ、北原里英、SKE48卒業生の大矢真那、宮澤佐江、松井玲奈が思い出話と共にこれからに向けたエールを寄せた。またプロレスラーのケニー・オメガからもビデオメッセージが寄せられ、「今回日本に行けなくてごめんなさい。最後のコンサート見たかったですよ。けど、アメリカから応援しています。いつかどこかでお会いしたいです。次に会うのはリングの中かな?」と激励した。
豪華な顔ぶれに感動する松井は、海外での仕事の際に海外48グループのメンバーに会いに行っていた事を明かし、「マニラとかは片道2時間かけて会いに行って一緒に踊った思い出もあって。私たちが名古屋で頑張ってる熱が伝わっていて、海外のメンバーもすごいパワーを持っているんですよ。それが本当に嬉しくて仲間なんだって改めて思ったし、私自身も落ち着いたらいろんな世界を見て、いろんなところに行ってみたいです」と話した。佐藤も「グループを卒業して、今度は自分のために時間を使ってね」と語りかけた。そんな佐藤は元々AKB48で活躍しており、2014年に「大組閣」によってSKE48に移籍してきた。「珠理奈がウェルカムの気持ちで受け入れてくれたから移籍の決め手になったので、それがなかったら今の私はないと思う。だから本当に感謝しています」と改めて感謝の思いを伝えた。
本編最後の曲は、松井が最後に参加したシングルの表題曲『恋落ちフラグ』を、参加メンバー全員で熱唱した。
アンコールは『神々の領域』からスタートした。1期生のために書き起こされたこの曲は、同期は増えずに減るだけという当たり前の事を何度も何度も教えてくれた。一人でステージに上がりマイクを握る松井は、こみ上げる思いに大きく深呼吸する。最後のサビでは微笑みながら歌い切り、この曲を歌える最後の一人としての役目を果たした。その姿を見届けステージに上がったのは桑原みずきと中西優香の二人だ。まっすぐに松井を見つめる二人の眼差しに答えるように弾ける笑顔を浮かべた松井は、『Glory days』をオリジナルメンバーの3人でパフォーマンス。さらに、本来はバックダンサーであるが3人の前で踊る大役を斉藤真木子、須田亜香里、都築里佳、江籠裕奈、古畑奈和、熊崎晴香が務めた。
今回のパフォーマンスのために事前に練習していたという中西は、「珠理奈とみずきが会うと、10分でみずきの方言が移っちゃうんだよね。(空いていた)時間が無かったように」と裏話を明かした。桑原も「3人でレッスンなんて久しぶりだからどうなるかなって思ってたら、バチバチにやったよね。『足の角度はこうやった!』みたいな。めっちゃ揃えたよね」と続けた。卒業してからブランクがあるにも関わらず、呼吸を揃えてパフォーマンスに命を賭ける姿を、SKE48を作り上げてきた張本人たちが情熱を持って後輩達へと示した。
「珠理奈さんは本当にとってもすごくて、何度手を伸ばしても届かない存在でした。そんな珠理奈さんと立てたこのステージ。心から幸せに思います」と珠理奈への思いを明かした斉藤。キャプテンの曲フリでエメラルドの卒業衣装を纏った松井は、卒業曲として作詞した『Memories ~いつの日か会えるまで~』を歌唱。ステージを囲うように見上げる後輩達へこの先のSKE48を託した。そして、『大好き』を日本語や英語、アジア圏の言葉で届け、『僕は知っている』では1期生から10期生まで、もう二度と揃うことのないメンバーで曲終盤の掛け声である「SKE48!」を高らかに叫んだ。
「松井珠理奈卒業コンサート@日本ガイシホール〜珠理奈の卒業で何かが起こる!?」(C)2021 Zest,Inc. / AEI 画像 9/10
「とうとうこのときがやって来てしまいました」。いよいよ旅立ちの時。松井は穏やか表情でマイクを握る。「何をしゃべろうかは最後は決めていなくて、今日一日通してやって思ったことをしゃべろうと思ったんですけど」と話しながら、浮かんできた思いを言葉にした松井は、「ふつうだったらね、ファンの方に『ありがとう』とすごく言いたいんだけど、まずは、メンバーに支えられてきました」と一番にメンバーへの感謝を寄せた。
「話したことがない話かもしれないけど、10回目の総選挙をナゴヤドームでやったとき、もう前日のリハーサルからすごく悔しくて。『なんでナゴヤドームでやるのにSKE48の曲が全然ないんだろうな』とか、『いつもSKE48って損してるよな』とか、『なんでこんなに頑張ってるのに届かないのかな?』とか。そんなことを思ってたらリハーサルに出られなくて、、、一人で部屋で泣いてて」と、3年前の総選挙の知られざる秘話を明かした。









