華やかでトロピカルな音が会場中を一気に夏色に染め出した。歌ったのが『ココ☆ナツ』。4人は、満面の笑顔で「コココ コーコ コッコッコー」と歌う。画面の向こうから、笑顔ではしゃぐ彼女たち姿へ熱い視線が次々と注がれる。きっと古参ファンたちは懐かしさに涙しながら。最近ファンになった人たちは、愛らしい姿に胸をキュンとさせていたに違いない。ももいろクローバーZは『ココ☆ナツ』を通し、観ている人たちの感情の景色を常夏のパラダイスに塗り替えていった。
「笑顔が止まらない! 踊るココロ止まらない!!」、『走れ』の登場だ!!騒ぐ気持ちは止まらないし、止めたくない!!まさに神セトリだ!!愛らしい彼女たちの姿に熱い視線を注ぎつつ、身体は止まらない衝動に奮えていた。冒頭からここまで、興奮のレベルゲージがズーッとレッドゾーンの状態だ。ハートがパニックを起こしそうな興奮を感じながら、このまま彼女たちと一緒に走り続けたい。
「ここまでは10年前と同じセトリ??」と本人たちも首を傾げつつ。当時のライブを再現しようという気持ちで舞台に立っていたことを彼女たちは語っていた。
ももいろクローバーZ (C)TOKYO IDOL FESTIVALオンライン2020 画像 3/4
ここからは、最新のももいろクローバーZの姿を示したステージへ。披露したのが、遊び心満載なリリックを軽やかに繰り出す、ラップ調の『The Diamond Four』。言葉の数々を画面の向こうへ軽快に撒き散らしながら、余裕を持ったステージングを展開。体感的なステージングばかりが魅力ではない。観る人たちの身体を心地好く揺らす曲を通し、4人は心も優しく揺らしていった。
次に披露したのが、『灰とダイヤモンド』。百田夏菜子の歌声から幕を開けた曲は、玉井詩織、高城れに、佐々木彩夏と歌を、想いを繋いでゆく。彼女たちは大人の雰囲気も醸しつつ、今の自分たちの気持ちを『灰とダイヤモンド』に乗せしっとり歌いかける。みずから影を背負った心模様も受け止めながら、これからも輝きを求め続けることを誓っていた。言葉のひと言ひと言を噛みしめるように歌う姿に、耳が聞き惚れる。体感的なライブも心騒がせるが、想いを染み渡らせるように歌う姿も、心を温かく染めてゆく。1曲の中で巧みに声色も変えながら、4人は揺れ動く心模様を楽曲の中に描きだしていった。
10年という歴史の歩みを。いや、ももいろクローバーが生まれ、ここに至るまでの道のりを踏みしめながら、4人はしっとり囁くように『クローバーとダイヤモンド』を歌いだす。彼女たちは、表現者(アーティスト)として成長した姿を歌声やステージングを通して見せてゆく。この場所(ステージ)に立って歌い続ける意志や意味を、ももいろクローバーZは『クローバーとダイヤモンド』に重ね、観ている一人一人の心へ染み渡らせていった。終盤へ向かうにつれ、次第に躍動するダンスビートに乗せ、彼女たちの身体も軽やかに弾みだす。笑顔がどんどん広がりだす。「揺るがない心 行く道は煌々と 桃色に変えて行く」。最後に4人の揺るがない生きざまを伝えながら、ももいろクローバーZは観ている人たちの心へ、忘れたくない景色を残していった。