笑顔の和田は「短い時間でしたがありがとうございました」とシンプルな言葉で観客に感謝を伝える。そして繊細なピアノの音色から、あなたという存在の大切さを歌う「#15」が届けられた。続けてギターのアルペジオがループしていき、オープニングで演奏されたインスト曲に歌詞が乗った「エピローグ」が披露される。優しさに溢れたボーカルとサウンドが会場を包むと、最後には会場の上空にある花のロープが観客の頭上の近くまで降りてきた。以前から和田は、「ステージと客席の境目を無くしたい」という思いを公言していた。だが、コロナ禍でそれを実現するのは難しい現状。そこで彼女は自分の気持ちを、演者と観客をつなぐ花の架け橋として表現したのだ。和田はピースな思いをしっかりと観客に伝えて、ライブは終了となった。
昨年8月1日にソロのキャリアをスタートした和田彩花。このライブは、ハロー!プロジェクトから卒業し、全て1から学び築き上げてきた1年間の集大成的な内容だった。音楽的にはオルタナティブミュージックと言っていい楽曲ばかりだが、彼女の中に一定のジャンルを狙おうといった意図は全くない。自分の思いのアウトプットの形が、結果的に現在のスタイルになったのだ。ライブの演出にしても、例えるなら、やりたいことをやってみたら自然とコーネリアスに相通じる雰囲気になったというのがとても面白い。
自身が今感じる思いを音楽として届ける。シンプルでありながらとても難しい作業を、ひとつずつクリアしながらたどり着いたZepp Tokyoワンマン。彼女の成長と未知なる可能性を感じられる濃密な時間だった。さらなる進化を遂げていく、和田彩花のこれからの活躍を大いに期待したい。
<和田彩花 オフィシャルYoutube>
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