無観客ライブだからこそ実現できる大がかりな舞台演出で、楽曲の持つ世界観を色濃く表現していくメンバーたち。場内が暗転すると、手に持ったハンドライトで広い会場をあちこち照らしながら、学校風のセットへと歩きだす。真夜中の校舎にこっそり忍び込むように、彼女たちは教室、音楽室、理科室と3つに分かれた舞台をライト片手に探索していく。尾関梨香がふいに倒した花瓶が割れるその音を合図に、「Student Dance」のパフォーマンスが始まった。ここから彼女たちは、エッジの利いたサウンドに合わせて机やピアノの上で踊ったり、白衣を着てでたらめな科学実験に興じたりとやりたい放題。さらには椅子を叩き落したり花壇の花を引き抜いたりと、無秩序で退廃的なムードに没入していった。
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教室にかけられていた額縁にカメラがズームインすると、次のセットに移動したメンバーたちが額縁の中に閉じ込められたかのような映像演出から「Nobody」へ。艶やかなダンスと共に、歌詞に合わせて展開していくグラフィック映像や傾斜のある部屋を使ったトリックアートのような演出で視聴者を楽しませる。間髪入れずに突入した「アンビバレント」では、会場中央を広く使ったダイナミックなステージングを展開。センターの小池美波は挑発的にカメラをにらみ、軽やかにステップを踏みながら迫力のパフォーマンスを見せつけた。
会場の換気作業を経て、メンバーは再びステージに戻る。今回の公演ではライブ開始前ならびにライブの最中にインタラクティブタイムが設けられており、ここでは抽選で選ばれたファンクラブ会員300人とメンバーがリモートでつながり、会話を弾ませる。スクリーンに映ったファンの姿を見た彼女たちは、パフォーマンス中とは異なるリラックスした様子で久々の交流を楽しんでいた。また新二期生の6人はそれぞれ自己紹介を行い、初々しい笑顔をファンに届けた。
和やかな時間が終わり、ライブは後半戦へ。機関車の汽笛が鳴り響くと、グレーの新衣装に着替えたメンバーは「大人は信じてくれない」を披露。ステージ前を炎が這う中、センター山天は悲しみや怒りをたたえた真に迫る表情で楽曲を歌い上げた。落雷音と共に水が降りしきるステージが登場すると、「避雷針」のイントロが流れだす。メンバーはセンターの渡邊理佐を引きずるようにして雨の方へと突き進んでいく。水面に歌詞がプロジェクションマッピングで映し出される幻想的な空間から、彼女たちは冷たく鋭い表情をのぞかせた。
張り詰めた雰囲気から一転、雨の止んだステージに一人たたずむ小林由依が枯れ葉を吹き飛ばすと、「風に吹かれても」のエネルギッシュなステージが始まる。重機やコンテナが設置された舞台には火花の特効も舞い、メンバーは手を繋ぎ元気いっぱいに飛び跳ねた。
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