序盤を終えると、メンバーがそれぞれ書初めを披露するコーナーへ。宮内は「笑」、中川は「平和(に呑む)」、深瀬は「大人」、篠原は「草のように」とそれぞれの抱負を披露していく中、松下が書き上げたのは「喉」の一文字。喉を壊して悔しかったこと、この日も朝は調子が良くなかったが特典会でファンと触れ合う中で喉の調子がよくなったこと。松下が明かすと、宮内も「玲緒菜の歌でまねきケチャが完成する」とカムバックに応えた。
まねきケチャ 画像 4/5
ライブ中盤ではアニメ『おこしやす、ちとせちゃん』EDテーマ“いつかどこかへ”、『ゲゲゲの鬼太郎』EDテーマ“あるわけないのその奥に”とタイアップ曲を丁寧に披露していくが、ファンの間の人気曲“妄想桜”になると再びホールのボルテージはMAXに。胸の奥に突き刺さるハイトーンのメロディをメンバーが歌い上げると、再びミックスの嵐が会場を包む。続けざまに日本武道館での名演の記憶も色濃い“ありきたりな言葉で”をパフォーマンス。大サビでは満場のケチャが沸き起こり、正月の渋谷公会堂をエモ色のサイリウムで染めてみせた。
その勢いを加速させるように、深瀬の提案でどのメンバーのファンの声援が一番大きいかコールアンドレスポンスの声量対決を挟み、セットリストはまねきケチャサウンドの核であるロックチューンの連打に。“青息吐息”、“どうでもいいや”、そして昨年12月リリースのニューアルバム『あるわけないの』収録の“共通項”、“愛と狂気とカタルシス”。J-ROCKの系譜を汲むロックサウンドと美メロ、そしてストレートな生歌を掛け合わせたエモ色の強い楽曲を畳みかけていく。
ライブ終盤に差し掛かったMCで、5人は3月29日(日)に深瀬の生誕祭を有楽町ヒューリックホールで開催することを告知した後、続けざまに8月10日にグループ5周年のライブをパシフィコ横浜で開催することを発表。5人の新たな挑戦に満場の拍手が起こる中、まねきケチャは観客を座らせたままでバラード“相思い”を披露。続く新アルバム収録の“君のいない世界に”では、壮大にして幻想的なアンビエント調のビートのトラックに乗せて、恋することの切なさと喜びを5人は歌い上げ、アップビートだけでないグループの真骨頂を覗かせて見せた。そして本編ラストに披露されたのは代表曲である“きみわずらい”。5人は歌とダンス、そして1500人のオーディエンスも拍手、ミックス、そしてケチャ。演者と観客がそれぞれありったけの手段でまねきケチャの歴史が刻まれた楽曲を奏で上げ、5人はステージを後にした。
まねきケチャ 画像 5/5
暗転したままの会場の中、本編でのミックスに匹敵するアンコールを受け、会場に鳴り響くのはジャンキーなまでのビートで人気の高い“モンスターとケチャ”。ここでもメンバーが一階席後方から現れるというサプライズの演出を行って、ハイボルテージのままにアンコールへ突入。曲を終えると、後方からの登場は当日のリハーサル中に思いついたアイデアと宮内が明かし、パシフィコ横浜に向けてもアイデアを考えているので期待してほしいと思いを語る。そしてこの夜の最後にパフォーマンスされたのは“タイムマシン”。2018年の日本武道館での熱演、2019年には舞浜アンフィシアターでメンバーによるバンド形態での演奏。いくつものライブを超えて、メンバーとファンの間で育まれてきたエモ曲と共に2時間半を超すライブは幕を閉じた。
ライブとは演者の一歩通行ではなく、演者と観客が一体となって作り上げるもの。楽曲とは聴き手がそれに触れる中で思いを深めて完成されていくもの。言葉にすればありきたりなことを、生の歌を通して表現しつづけきたまねきケチャ。けれど、アイドルが歌を歌うという当たり前の行為も、時として当たり前のことではなくなってしまう。数々の名演が刻まれてきた渋谷公会堂。そこにいつも通りの歌で、等身大の足跡を残して、5人は次なるライブへと向かっていった。
■ライブ情報
3月29日(日) 有楽町ヒューリックホール 深瀬美桜生誕祭
8月10日(月・祝) パシフィコ横浜 まねきケチャ5周年ライブ
■商品情報
2019年12月18日(火)発売 まねきケチャ『あるわけないの』
