その間に流された動画の中で新曲 あるわけないのその奥に" が『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディング曲となることがさらに発表されると、ステージに再登場したメンバーは妖怪をかたどった衣装に。そのまま新曲、そして昨年同じく『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディングとなった"鏡の中から"を続けてパフォーマンス。オーディエンスも精いっぱいのフリコピでパフォーマンスに躍動を加えていくと、セットリストは“ありきたりな言葉で”に突入。感情のこみ上げるメロディで会場の感情を一気に高め、大サビでは松下と深瀬がボーカルバトルと呼ぶのが相応しい激しい掛け合いを披露。会場は再び激しいミックスが渦を巻いて天井を揺さぶった。まねきケチャ 写真提供:コレットプロモーション 画像 10/11
いよいよライブは終盤を迎えると5人は“相思い”、“ハリネズミの唄”とバラードを続けてパフォーマンス。コンテンポラリーダンスを取り入れたバックダンサーの踊りや、雲の上に立っているような足元のスモークなど、幻想的な演出の中でマーティ・フリードマンからも“楽曲派“と称されたグループの歌を響かせた。
ライブのラストソングの前のMCでは4年前に初めてメンバー同士が出会った時、やっていけないと思ったことを中川、宮内、松下の3人の初期メンバーが告白。中川が松下を「絶対仲良くなれないタイプ」と感じたと振り返ると、松下はゴキブリを使って中川との距離を縮めたエピソードを披露し会場の笑いを誘った。その後、メンバーは今の5人体制で新しいまねきケチャを目指すことをオーディエンスに告げ、曲名もラストを思わせる“あたしの残り全部あげる”へ。《あたしの残りぜんぶあげる/いろいろあった あたしでよければ/あなたの残りぜんぶちょうだい/キミにもいろいろあったのかしら》。グループの歩みを思わず重ねたくなる印象的な歌詞を、4年の時を超えて舞浜に辿り着いたまねきケチャはエモーショナルに歌い継ぎ、この日の本編を後にした。まねきケチャ 写真提供:コレットプロモーション 画像 11/11
メンバーが立ち去るとオーディエンスはサイリウムを灯してアンコール。照明の落ちた会場に星空のように灯りが点いた様子がスクリーンに映される中、暗転した会場に リーダー中川の声が突如響く。“モンスターとケチャ”。曲名をコールするやゴシック調のトラックが鳴り響き、会場にも再び大きな歓声が。まさにモンスターが憑依したかのパフォーマンスを披露し、これまで毎年100本以上のライブを行ってきたグループの底力を見せつける。曲を終えてメンバーがアンコールへの感謝を述べると、深瀬がさらに新曲“愛と狂気とカタルシス”を用意してきたことを発表。ピアノをバックにした抒情的なイントロからアップビートへと移り変わるまねきケチャの王道サウンドを踏襲する楽曲で、5年目のグループの目指す先を高らかに示してみせた。
そしてこの夜、舞台を締めくくりに選ばれたはグループの代表曲、“きみわずらい”。エモーショナルなボーカルワークと心の奥底に響く言葉とメロディ――まねきケチャのアイデンティティである「生歌」の魅力をどこまでも引き出し、そして彼女たちの音楽性の形を決定づけた楽曲と共にこの夜のステージは幕を閉じた。この世界に『福』を招くために、人間界に降り立った見習い天使まねきケチャ。彼女たちの言う『福』とはきっとこの『歌』のことなのだろう。ビートとミックスが混然となった熱狂の後に、そんな感慨を残す渾身の2時間半を5人の見習いは演じ上げたのだった。
【Release】
■2019年12月18日発売
「タイトル未定」
