ステージ後方に現れた松村沙友理は「注目! ここからは私のコーナーです!」と口火を切ると、さゆりんご軍団が登場するというサプライズ。先日、卒業した伊藤かりんも登場しアリーナの熱がさらにあがった。メンバーの名前をコールする「白米様」、リンゴポーズがかわいらしい「さゆりんご募集中」とみんなで盛り上がれる曲をパフォーマンス。ダンス時、松村の真後ろで正面から見えなくても、ひとり後列の配置でも伊藤の表情は本当にキラキラと輝いていて、「アイドルというお仕事が大好きだった」と語ったことが心からの本音だということを裏付けていた。
曲終わりには、5月26日が誕生日だという伊藤のためにバースデーケーキが出現。会場一体となる「ハッピーバースデー」で彼女の新たなスタートを祝った。そのまま幕引きかと思われたが、なんと松村から伊藤へのサプライズレターコーナーへ。松村の「乃木坂46は卒業しても、さゆりんご軍団は卒業しないでください。これからもいつでも席を空けておきます」という愛ある言葉に、伊藤は唇を噛みしめ瞳を潤ませた。
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卒業を感じるしっとりとした空気が漂ったが、「ありがちな恋愛」の投入により一気に爽やかで切ないものへチェンジ。アップテンポなビートに乗るリリックは憂いを帯び、それを表現するメンバーの表情も複雑な色を映していた。イントロが流れて会場が一斉に息をのんだのは「命は美しい」だ。初期のころは初々しく映ったパフォーマンスも、今では力強く見せられる1曲へと進化。立ち姿1つ1つにも意味を見出し、景色を鮮やかに描いて見せた。
白石麻衣のたたずまいが際立つ「シンクロニシティ」、投げキスの振りがかわいらしい「ロマンスのスタート」と進みいよいよ最後の楽曲へ。ラストを飾ったのは「君の名は希望」だ。美しく力強いハーモニーが会場を満たし、それにこたえるように乃木坂カラーのサイリウムが揺れる。<未来はいつだってときめきと出会いの場>という歌詞は、大切な軸は守りつつも希望に出会うために変わり続けていこうという強さを感じさせた。大団円のなかで、本編を終えたのだった。
その後も彼女たちを呼ぶ声は鳴りやまず、ほどなくしてアンコールへ。この日2度目の「Sing out!」となった。「乃木坂工事中」オリジナルMVの撮影ということもあり、秋元真夏のダンスレクチャーも行われ会場一体が同じように揺れる。老若男女いろいろな人がひとつのものを作り上げる姿は、違うバックグランドを持っていても同じものを共有できるのだということを立証しているようだった。再び斉藤優里も合流し披露されたのは彼女にとって思い出の曲である「13日の金曜日」。ポップでかわいらしいメロディーに自然と会場のコールも大きくなる。クールなナンバーの「ダンケシェーン」を挟み、斉藤からファンへの手紙が読みあげられる。静かに涙を流しながらも「また、笑って会いましょう」と話す姿は、いかなる時でもハッピーにキラキラのアイドルでいようとした彼女の志の高さを感じさせた。
結びの曲となったのは、穏やかに時が流れる「乃木坂の詩」。乃木坂カラーの照明とサイリウムが会場を埋め尽くし、ハッピーエンディングを迎えた。