基本的なステップからポージング、『Stand by you』などの楽曲の振り付けと、わずかな時間の中で叩き込まれていく。まだ「アイドル」の笑顔は見られない。目の前の鏡に向かって真剣な眼差しを向け、己と戦う姿がそこにはあった。
人前で歌うことについて赤堀君江は「何もイメージできない。想像できない」と心境を語る。岡本彩夏は「いつもお客さん側だったから(アイドルとしてステージに立つ姿が)想像できない」と本音を語った。
そんな中、12月31日の大晦日に開催されるイベント「SKE48 忘れられない大忘年会2018」で9期生のお披露目が決定した。同時に披露する予定の『パレオはエメラルド』『Stand by you』のポジションもくじ引きで決定。
SKE48劇場支配人の湯浅洋氏は告げる。「誰がセンターになっても後ろになっても、この9期生みんなで支えあって31日にお披露目できるように」とメッセージを残した。
さらにレッスン場に1期生の松井珠理奈が見学に訪れた。松井が見守る中で『Stand by you』を披露する9期生。レッスンを見守る中で松井は9期生へ向けて熱のあるアドバイスを送った。さらに「もう劇場に出られるレベルの子もいる。表情やダンスがいいなって思う子がいる」と手応えを感じている様子だった。その後も高柳明音をはじめとしたメンバーもレッスン場を訪れ、9期生へ向けてメッセージを送った。
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お披露目を前日に控えステージを楽しみに待つメンバー。一人踊れずに涙を流すメンバーとそれぞれの思いがレッスン場に交錯する。そして、お披露目当日の12月31日。この日のサプライズとしてSKE48劇場のステージでファンの前に姿を現した9期生。レッスンの成果を出せるように、そして憧れの劇場に立った喜びを体現するかのように全力のパフォーマンスを見せた。ステージを終えた9期生には笑顔が満ち溢れていた。
しかし、本当の試練はこれからだった。
2019年の年明けから徐々に握手会にも参加していた9期生。そんな中、SKE48がグループ一丸となって再びコンサートの開催を誓ったナゴヤドームで行われた握手会で、9期生が披露したステージを見た先輩メンバーの声は厳しいものだった。
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松村香織(卒業生)は「笑っちゃった、やばすぎて。なんでステージに立ってんの?」。長らく終身名誉研究生として研究生の育成に力を注いだ松村には、9期生の中にあった甘さを見抜いた。「(1回目のステージよりも)2回目のステージが良かったと思うの。でもそれって、自分の評価が下がるのを気にしてやってんじゃん。大人が見ているのを分かってて。それがショックだった」と、率直な意見を述べた。キャプテンの斉藤真木子は「今はちやほやされているけど、時が経てばMCやダンスができなかったらすぐに見られなくなってしまう。ファンの人は興味を持って9期生を見ているから、それに値する対応やパフォーマンスじゃないと興味は薄れていくよ。一生懸命やることしかできないなら、一生懸命やるしかない」と檄を飛ばした。
お披露目を迎え、ファンが見守る劇場に立ったその瞬間から、彼女たちは本当の意味でSKE48のメンバーとなった。そんな9期生に対して突きつけられた現実は、彼女たちをまた一段成長させるきっかけとなった。
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