すぐに、アンコールを望むさやかコールが巻き起こり、ほどなくステージに現れた山本が歌ったのは、ラストシングルに収録されているソロ曲「忘れてほしい」。ブルージーなロッカバラードの中で、ハスキーな中低音と伸びやかなハイトーンボイスという彼女の歌声の魅力を存分に発揮していたのが印象的だった。
その後、ソロ曲を歌い終えた山本のもとに集まったのは、白間、吉田、川上礼奈の現役1期生3人と前述のメンバーに上西恵や門脇佳奈子ら7人の1期卒業生。披露されたのは、“10年経ったら何しているのかな”と歌われる「卒業旅行」。そして、さらに7人の1期卒業生が加わって「三日月の背中」が披露される。
同期に囲まれた山本は、この日一番と言っていい安心した表情を浮かべているが、同時にその瞳はうっすらと潤んでいた。その後、「卒業生のみんなと歌えるのもうれしいですが、今いる現役メンバー全員であの曲を歌わせていただきたいと思います!」という山本の掛け声で、「僕だって泣いちゃうよ」をパフォーマンス。アンコールのラストは、NMB48を、そして山本彩を語る上で欠かせない名曲「青春のラップタイム」だ。
「NMB48は、私の青春でした!」と叫んで同曲を披露したあとは、花道に並んだメンバー全員とハイタッチを交わす。前方ステージ中央に立った山本は、ファンに感謝を伝えつつ、「もう少しだけ、NMB48とアイドルをまっとうしたいと思います」と語る。そんな山本に、後方ステージに勢ぞろいしたメンバーが「さや姉!」と叫ぶと、山本は「何?」と驚く。
泣き顔の吉田は、「卒業しなくてもええねんで」と語りかけるが、山本は「うれしいけど……」と返し、卒業とその後の活動に向けた確かな気持ちを見せてくれた。すると、太田夢莉が音頭を取り「ありがとうございました!」と全員で声をかける。しかし、声が揃わずに「最後、ぐちゃってるやん(笑)」と山本が笑う一幕も。