杉野は、現場に入る前に中川監督と「哲学的なお話をした」と明かし「それが楽しくて、一緒にものを作る中で、完全に委ねる形になった」と監督を信頼して本作に挑んだと明かす。監督によると「生きていて、幸せに感じること」などについて話をしたそうで、浜辺に対しても撮影前に「どの瞬間に幸せを感じるか?」という質問をしたという。
主人公の真奈、その親友のすみれ、すみれのかつての恋人の遠野という役柄に、この3人をキャスティングした経緯について中川監督は「岸井さんは、採れたての野菜みたいなフレッシュさ、瑞々しさがあると思いませんか?」とそのあふれんばかりの「生命力」が決め手になったと告白。さらに「透明な存在感があって、でも実はいい意味でわがままで、自分が強くあるのが浜辺さん」「遠野は、ある種のナルシスト。これも悪い意味じゃなく、自分を気にする人。杉野さんと話して、聡明な人だなと思って、(遠野役が)合うと思った」と明かした。
真奈とすみれの関係性について、杉野は遠野の目線で「自分に話してくれないことを女友達に話すのは『どっちが大事なの?』とか思うけど、心許せる友達がいるというのはいいことだと思う」と指摘。
©2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会 画像 3/5
浜辺は「女同士だからこそ嫉妬心が芽生えることもあるし、女性同士だから、逆に取り繕うことをしてしまう瞬間があることもわかります。私自身、女性と会う時ほどお化粧を頑張ってしまったり、気の使い方が違ったり、弱いところを見せ過ぎないようにしちゃうところは共感しました」と女性同士だからこその複雑な心境についても吐露。岸井も「気の使い方が違う部分はあると思います」と深くうなずいていた。
さらにトークでは本作、そして、いまの季節にちなんで卒業の思い出やエピソードについて質問。 岸井は「教習所を卒業しました!」と笑顔で報告し「もう運転しています。何もかも許されたって感じです」と運転を楽しんでいる様子。とはいえ「ひとりで走るって怖くて、最初に運転したときに、いきなり4車線に入ってしまい、あまりにも怖くて、父親がいないと運転できなくて…」と苦笑交じりに語る。
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