株式会社マクニカ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:原 一将、以下マクニカ)は、国内の国立私立4大学の研究室とともに、国内初バイオセンサの学生コンペ「BioInnoSense(バイオイノセンス)」を開催しました。その最終発表と授賞式を8月31日に行い、東京科学大学チームがテクニカルアワード、早稲田大学チームがビジネスアワードを受賞しました。
■BioInnoSenseとは
マクニカ及び東京大学の坂田研究室、東京科学大学の早水研究室、芝浦工業大学の當麻研究室、早稲田大学の三宅研究室が主催する学生コンペです。生体情報をセンシングしてデータ活用するバイオセンサは、次世代の医療や食、生活に関わるイノベーションにつながる分野として注目を浴びている一方、バイオ、電子、化学、光学など多分野にまたがる学術的知見を必要とするため、大学、研究室を超えたつながりが重要とされています。そこで、同じ課題感を持った4大学のバイオセンサ研究室とマクニカがタッグを組み、世界で戦えるイノベーション人材育成のため、大学を超えた学生コンペを開催することとなりました。
2025年4月の募集に始まり、講義、大学別のチームによる研究開発、中間発表と順調にプログラムが進み、その最終発表及び授賞式が8月31日に行われました。学生たちはわずか3か月ほどで、課題設定からバイオセンサの実機作製、さらにはビジネスプランを練り上げるという難題をこなし、プレゼンテーションに臨みました。最終発表は、1日目のデモンストレーション展示、ディスカッションと、2日目のプレゼンテーションにより審査が行われました。審査員である国内のバイオセンサ研究権威に加え、バイオセンサ関連や、新規事業開発に興味のある企業のお客様にも来場いただき、活発な議論が交わされました。
■各研究室の発表
・テクニカルアワード:東京科学大学チーム
本賞は、開発したバイオセンサの機能性(測定精度、速度、必要なサンプル量)と技術的な新規性、及びチームが開発プロセスにどのように取り組んだかを審査し、最も優れたチームに授与されるものです。
東京科学大チームは、「アレルギー反応の迅速な判定を可能にしたバイオセンサ アレミル」の開発において、バイオと電気回路の異なった領域の専門性の高さを生かし、実機作製、データの信頼性の高さなど総合的な精度の高さが評価され、受賞に至りました。
<受賞者コメント>
本当に、うれしい、の一言です。ありがとうございました。普段研究室で研究していると、なかなか完成した製品を売るといったビジネス的な観点で考えることはないのですが、こういうコンペを通して、技術とビジネスを繋ぐ難しさを学ぶことができたかなということは貴重な経験になったと思います。
・ビジネスアワード:早稲田大学チーム
本賞は、社会にインパクトを与えられるインスピレーションを持ったビジネスアイデアかどうかを審査し、最も優れたチームに授与されるものです。
早稲田大学チームは、「アイトラッキング機能を有する磁性を持ったコンタクトレンズ」のビジネスプランにおいて、競合との差別化のみならず今後伸びる市場へのアプローチなど可能性を評価されて受賞に至りました。
<受賞者コメント>
率直に、大変うれしいな、と思っています。製品として面白いものが出来上がってきているのは間違いないので、これが市場に出せるようになってくれるといいなと思います。今後はどのように社会実装して社会に役立てるかを考えていきたいです。
・東京大学チーム
「かびの胞子の増加をリアルタイム計測できるバイオセンサ」開発による、空気質の向上ソリューションを発表しました。
・芝浦工業大学チーム
「土壌の肥料(窒素濃度)の見える化センサ」開発による、園芸業界での適正な肥料タイミングを知るサービスを発表しました。
■主催:東京科学大学 早水裕平准教授コメント
とにかく学生さん達がこれだけ楽しんでくれて、真剣に何かを作り上げたいと思い、協力してやってくれたというのが、ちょっと最後涙が出そうでしたね。 非常に良かったと思います。
今大会の特徴としては、ビジネスのモデルから考えるということがあります。今回参加した学生達は、テクノロジーが主の学生達ですが、将来会社に入った時に、どういったアプリケーションがあるのか、社会にどういう風に貢献していきたいのか、もしくは、その会社にとってどういうメリットのある商品を作りたいのか、という風に考えられるようになってほしいと思っていました。理系の学生は、これまでは研究だけを考えがちだったと思うのですが、若いうちからきちんと出口を意識しながら研究をしていくことが大事だということを知ってほしかったです。今回4校が、全く違うアプリケーションで、アレルギーのセンサ1つとっても、いろいろな産業に応用できるということを、彼らが実体験として示してくれました。今回の学生達が、その柔らかい頭で、それぞれのテーマを見つけてきた、それ自体が成功だったのではないかなと思います。
本コンペは来年以降も継続して開催する予定です。マクニカは、今後も産学連携によるテクノロジーの発展、そして世界に通用する人材育成に尽力してまいります。
■コンペ当日の様子
