10数年前、小さなライブハウスで闘っていたころと、基本線はなにも変わっていない。軸がまったくブレないまま、時間をかけて、スケールアップし、バージョンアップしつづけてきた結果、今、東京女子プロレスは両国国技館で当たり前のように試合ができる団体に成長した。あのころ、若手として闘っていた山下実優や中島翔子が、いまでも団体の中核として活躍しているのが、この団体の強さでもある。すべてのスケールアップ、バージョンアップを体感してきている存在は、若手にとって、頼れる先輩であり、でっかい背中を毎日、見せてもらっているようなものなのだから。
過去に2回、東京女子プロレスは両国国技館大会を開催している。2022年の1回目は初期メンバーが主役となる、これまでの集大成的な大会だった。2024年の2回目は若い世代の選手たちが3大王座を独占する新時代の夜明けを予見させる1日となった。
そして3回目となる今回は、3大タイトルマッチに出場する3人のチャンピオンが、すべて若い世代に入れ替わっての、最新で最強で最高のラインナップ。メインイベントのプリンセス・オブ・プリンセス選手権試合では、アップアップガールズ(プロレス)のメンバーで現王者の渡辺未詩が、SKE48卒業後、二刀流からプロレス一本に専念してきた荒井優希の挑戦を受ける。ハロプロの系譜を受け継ぐ現役の二刀流アイドルが、あの黄金時代を経験してきた48グループの卒業生とトップの座を争う。これはもう平成の一大アイドルブームの究極すぎるエキストラステージである。
プロレスの定番であるベビーフェイス(ヒロイン)vsヒール(悪役)という図式がない東京女子プロレスは「わかりにくいのでは?」と評されやすいのだが、両国国技館のメインに関していえば、そんな図式がかすんでしまうほど、わかりやすくて壮大なドラマが存在している。一見さん、それこそ女子プロレスにまったく興味のない方にも刺さるバックボーン。あのころを現場で体感してきたアイドルファンにはたまらない大河ドラマのクライマックスがそこにはあるのだ。
食わず嫌いの方、なぜか東京女子プロレスに対する認識が平成のまま止まってしまっている方、まったく女子プロレスに興味がない方……ここまで読んで、ちょっとでもひっかかったら、3月29日はぜひ両国国技館へ! 何度でも言いましょう。観てもらえればわかる、と。
文=小島和宏








