2018.12.07 公開
ピース・又吉直樹にインタビュー。ロシアで出会った『絶景』の正体とは?

又吉直樹  画像 1/3

お笑い芸人・ピース又吉直樹が主催で送るコントライブ「さよなら、絶景雑技団」が2019年3月22日(金)、23日(土)、24日(日)に新公演を行うことが発表された。WWSチャンネルでは又吉へのインタビューを実施し、4回目を迎える本公演への意気込みから、新作小説の新聞連載開始、大河ドラマへ『西郷どん』への出演など多くの出来事があった2018年を振り返り語ってもらった。

 

ピース・又吉直樹にインタビュー。ロシアで出会った『絶景』の正体とは?又吉直樹  画像 2/3

 

Q.又吉直樹さん主催の「さよなら、絶景雑技団」では、どんなライブを展開していますか?

 

又吉直樹:「基本的にはコントライブです。タイトルに『絶景』って言葉が入っているんですけど、コントそのものが『絶景』であるというコンセプトが基本的にあります。『絶景』って言ってもバカバカしいものから、日常のすごく些細なもの、子供の頃に描いた夢想をコント化していこうというのがコンセプトです。僕がオープニングとエンディングのコントを作って、合間に出演者個人の『絶景』を入れて、どういうものを『絶景』と捉えているのかをメンバーと話しながら作っています」

 

────中のコントはメンバーさんがそれぞれ作っているのですね?

 

又吉直樹:「僕も演出として関わってますけどね。ただ、僕が全部作ってしまうと個人の『絶景』にはならないので、しゃべりながら雰囲気を聞いて、僕が提案しながら作ってます。個人のやつ以外は全て僕が担当しています」

 

 

Q.個性的なメンバーはどのようにして集めましたか?

 

又吉直樹:「みんないい感じに年をとって、余裕あるやつなんて一人もいないですけど、みんな性格が良くて面白いやつが集まっています。このメンバーにしている理由は2009年に僕に『やりましょうよ、面白いライブ!』って言ってくれたメンバーで、当時まだ若手だったパンサーの向井や井下好井の好井は「僕も出させてください」って志願してくれたのがきっかけですね。この後にも面白い後輩もいっぱいいますけど、やり始めたからにはやり続けていこうという感じが強いですね」

 

 

Q.公演を通して成長したと感じたことはありますか?

 

又吉直樹:「向井なんて成長しすぎて怖いです。最近、向井に面白いと思われたい緊張感があります。好井もトーク番組で結果を残したり、ライスなんて『キングオブコント』のチャンピオンですよ。みんなそれぞれ結果を残していて成長はすごいです。僕も頑張らないとなって思います」

 

 

Q.ちなみに、又吉さんが思い描く『絶景』ってどんなものですか?

 

又吉直樹:「いろいろあるんですけど、やっぱり感情が動く瞬間が記憶として残るのかなって思います。どうでもええような瞬間、日常のような瞬間でも『絶景』になりうる場合もありますし、滅多にできない体験をした時も、それが『絶景』になることもあります。例えばですけど、一日嫌なことがあって一人でバーに行って飲んでいる時に、高校生の時に聴いていた曲がたまたま流れて『明日からもうちょっと頑張ってみようかな』って思う瞬間があるとしたら、それも人によっては『絶景』と捉えるかもしれないですね」

 

────最近、心に響いた『絶景』な出来事はありますか?

 

又吉直樹:「今年の夏にサッカーのワールドカップをロシアまで観戦に行きました。もちろん僕はロシア語を話せないので、スタッフさんと一緒にカフェでお茶してたんですよ。そしてら、その店の近くに川があって一人で見に行ったんですね。橋の近くから川を見てたら横にボロボロの革ジャンを着たミュージシャンみたいなおじさんが来たんです。言葉一切わからないはずなのに『金貸してくれ』っていうのは分かったんです。それで『ノーマネー』って言ったらむちゃくちゃ寂しそうな顔をして『グッドラック』って言って去って行ったんですよね。

 

────異国での突然の出会いでしたね。

 

又吉直樹:「『グッドラック』って言ったその表情を見た時に、絶対悪い人ちゃうんやろうなって良いように解釈してしまったんですけど。どうせ両替したお金を持ち帰って使わないならあの人にあげたらよかったなって思って、追いかけて行ったんですよ。もうおらんかなって思ったら、ちょうどバンドが演奏していて、そのストリートミュージシャンの真ん前でさっきのおじさんが勝手にハーモニカーを吹いていたんですよ。勝手にセッションしていて、その瞬間なぜかグッときましたね。外国人に金貸してって言って断られて、数メートル先でミュージシャンとセッションを始めて、すごく人間的だなって思いましたね。ある種の『絶景』なのかな」

 

 

Q.ちなみに脚本の進捗具合はいかがですか?

 

又吉直樹:「まだぜんぜん書き終わってないです。ここからですね。いまどういう風にやれるかをイメージして材料を集めてる段階です。みんなで集まった時に誰も知らない特技とかあったりするのかって聞いたら、『ゆったり感』の中村が4年生までピアノをやっていたというのが発覚したんです。まぁ、それは使いどころはないですけどね(笑)みんな芸歴はあるからコントを考えることは普通にできると思うんですけど、実際やる時にチャレンジしたなって部分が見えたらいいなって思いますね」

 

────やってみたい構想はありますか?

又吉直樹:「そうですね。いろいろ考えてはいますが、今までやってきたことだけではもの足りないかなっていう気はしてます。今までのはもちろん、やってこなかったいろんなものが混ざってるライブになればいいなと思ってます」

 

 

Q.派生公演では「日本の表現者」というタイトルで、出演陣も新たに挑まれますが、こちらはどんな公演になりそうですか?

 

又吉直樹:「これは毎月『実験の夜』というライブを開催してまして、その中で自分で考えたコントやコーナをやったりしてるんですけど、そこで生まれたコーナの一つです。僕が作った設定で言葉を使ってどんな展開にもなり得るライブなんです。説明が難しいですけど、そっちも見てもらえたら楽しんでもらえると思います」

 

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Q.今年を振り返ってみていかがでしたか?

 

又吉直樹:「大河で将軍様をやらせてもらいまして北川景子さんを初めて生で見ましたけど、むちゃくちゃ可愛かったですね。性格もめっちゃよかったですね。地元の同窓会で『北川景子さんめっちゃ優しい』って言いましたもん。むちゃくちゃ盛り上がりましたね」

 

────撮影中の北川さんとのエピソードはありますか?

 

又吉直樹:「女優さんって緊張感あって怖いか、むちゃくちゃ礼儀正しいかの二択だと思うんですけど、北川景子さんは初めてのパターンだと思いますね。ざっくばらんに話しかけてくれる感じというか、初対面の礼儀正しさもあると思うんですけど、一緒にやっていく中でカジュアルに話しかけてくれて、自分の不甲斐なさに情けなくなりましたね。こんな人がクラスにおったら最高やったのにっていうタイプでしたね」

 

 

Q.小説の連載も始まりましたが、そちらはどうですか?

 

又吉直樹:「『人間』って小説の連載が始まっているんですけど、これは毎日戦ってますね。最初は2ヶ月スットクがある状態でスタートして、もう7日分しか残ってなくて。1日1話書いていかないとストックが減っていってしまうんです。1話分が2枚半なんですけど、僕は書くのに調子良くて4時間ぐらいかかるんですよ。まぁ、キツイですね」

 

────今日も執筆されましたか?

 

又吉直樹:「今日も朝ちょっとやって、この後もやりますね」

 

────ちなみに、小説とコントを執筆するときの違いや共通点はありますか?

 

又吉直樹:「コントは一本が短いので設定とキャラクターの立ち上げの作業が必要で、小説は書いているものの続きを書いていかなきゃならないので。長編になってくると作業を中断したら、10ページ前から読み返さないといけないんです。似てる部分はあると思うんですけど、モードを変えていかないとできないですね。交互に書けって言われたら絶対にできないですね」

 

 

Q.最後にファンの方へメッセージをお願いします。

 

又吉直樹:「今まで僕のコントライブを見る機会がなかった人にはぜひ見てもらいたいです。ずっと見てきてくれた方とっても、今までと何か違う新しいものを、感覚を持ち帰ってもらえるようにしたいと思ってます」

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