2018.04.26 公開
【独占取材PART2】小室哲哉、浅倉大介からなるユニット「PANDORA」の フィーチャリングボーカルBeverlyと次世代ユニットX21から選抜されたAXL21が スーパークリエイターと共に主題歌、挿入歌を歌う『仮面ライダービルド』について語り合う!

『仮面ライダービルド』座談会  画像 1/9

2回目となる『仮面ライダービルド』座談会。
今回はいよいよ音楽面についての話題へ!
主題歌「Be The One」、挿入歌「「Ready Go!!」について、作曲からレコーディング、そして番組発の歌の在り方とは?
各々がいかにして、『ビルド』に向き合い、楽曲を形にしてきたのか。
その思いの丈を語り合っていただきました。
前回記事【独占取材パート1】はこちら↓
●「Be The One」に込められた想い
――対談の第2回目は、音楽面について語っていただければと思います。今回、Beverlyさんも参加されているので、まずはやっぱり、主題歌「Be The One」の話題からお願いします。
Beverly:「Be The One」は、J-POPのレジェンド、小室哲哉さんと浅倉大介さんが作った曲、しかもそれが「仮面ライダー」というビックタイトルの主題歌になると聞いて、最初はすごくプレッシャーでした。でも、とても素晴らしい曲ですし、楽曲自体にはポジティブさ、諦めない気持ちといったテーマが込められているので、そこを聴いてくださった皆さんに伝えたいと思って、チャレンジしたつもりです。
――レコーディングした時点では、『ビルド』はオンエア前ですが、どのようにイメージを膨らませましたか?
Beverly:先ほど(※第1回)お話したように、「仮面ライダー」自体は以前から知っていました。何かを守るために戦うといったイメージがあり、とても強い力を持っていますから、私も歌声を通じてその力を聴いてもらいたいと思いました。
末永:まさに「Be The One」を聴いて感じたのが、その力の部分でした。
田中:とにかく「カッコイイ」しか思い浮かばないですね。
Beverly:ホントに? 二人ともありがとう!
田中:Beverlyさんとは今日、初めてお目にかかったのですが、こんなに細い体なのに、いったいどこからのあの声が出るんだろう?って。それくらい声のパワーに圧倒されましたね。
Beverly:でも、レコーディング自体はかなり苦労しました。それまでバラードは何曲も歌ってきたのですが、「Be The One」のようなアップテンポな曲を歌うのは初めてだったんです。特に最後のサビは難しくて、何度も歌い直しました。それと、日本語の発音にも気を付けなくちゃいけないし、歌詞の意味も事前にきちんと調べました。意味が分かることで、歌う上での表現にも繋がったし、そこは一番大事な部分だったなと思っています。
――クリエイターの皆さんは「Be The One」についてはいかがでしょうか?
ats-:今、フィリピン出身で世界的に活躍されているアーティストがけっこういるんですよね。シャリース・ペンペンコとか、ジャーニーのボーカリストの……。
Beverly:アーネル・ピネダですね。
ats-:そう。フィリピンには世界に羽ばたく土壌があり、Beverlyさんにも同じ匂いを感じました。
清水:小室さんと大ちゃんなので、曲に関しては「いいものが聴けるんだろうな」って確信はあったんです。で、そこにどんな歌手がどんな風に歌を乗せてくれるのかが楽しみな部分でもあったのですが、歌が直線的に入って来て、これがまた実に印象に残る。さすがの実力だなと思いましたね。
渡辺:Beverlyさんのボーカルは、小室さんと浅倉さんが作られたシンセのサウンドにすごく合いますね。負けてないというか、その戦っている感じがベストマッチ!(笑)。
Beverly:(笑)。
渡辺:逆にもし自分たちが作った曲を歌ってもらうとしたら、僕らの音とはどういう科学反応を起こすかなと。そういった興味もありますね。
Beverly:今はイベントやライブで披露する機会もあります。ファミリーが多いショピングセンターなどのイベントでは、たくさんの子供たちが一緒に歌ってくれます。ライブでは「超英雄祭」で歌わせていただいたことが忘れられません。会場となった日本武道館は、大勢のアーティストが「ここで歌いたい」と憧れる、大きく意味のある場所です。ここでファンの皆さんに生で聴いてもらえたことも嬉しかったですし、小室さん、浅倉さんと一緒にパフォーマンスできたことも感激でした。私にとっても、まさにメモリーボウルになりました!
●選ばれたメンバーで挑んだ「Ready Go!!」
――Beverlyさんは「Ready Go!!」は聴かれましたか?
Beverly:もちろんです。今、目の前にいる可愛いお二人が歌っているとは思えないです(笑)。ロックテイストの曲調に、力が湧いてくるような歌声で、ピッタリです!
田中&末永:ありがとうございます!
Beverly:はい。とってもステキです。
――AXL21は、お二人が所属するX21からの選抜メンバーとのことですが、オーディションがあったそうですね。
田中:まずは選抜オーディションのお話を聞いた時点で「仮面ライダーの挿入歌を歌えるかもしれないんだ!」といっきにテンションがあがりました(笑)。
末永:一度、メンバー全員で歌っていて、その際に先生方と初めてきちんとお目にかかりました。それで最終的に固定メンバーとして選ばれたのが6人で、「Ready Go!!」ではさらに小澤奈々花、井頭愛海、山﨑紗彩が入り、私たち二人がメインボーカルという立ち位置です。
田中:「Ready Go!!」の歌詞をいただいてから、『ビルド』を見始めたのですが、歌詞とドラマがリンクしていて、色々と伝わってくるものがありましたね。
末永:歌詞もそのまま読むより、番組を知っているほうが重みがありますね。
田中:そして、それを自分たちが歌えることが何より光栄だと思いました。
末永 めちゃくちゃ嬉しかったよね~。
田中:ホントに!
――では、レコーディングもスムーズに?
田中:いや、普段グループとして歌っているときとは違い、力強く低い声を求められたので、そこは難しかったですね。
末永:声のギャップがすごい。私たちメンバー同士が聴いても驚くくらいです。
田中:歌詞には力強いワードがあったので、そこがひとつのきっかけになったかなって。
末永:メンバーみんながそれぞれに考え、一生懸命歌った結果、『ビルド』の世界にもしっかりと入ることができたと思っています。
田中:歌い方ひとつ取っても、私たちにとっては新しい発見でしたね。
ats-:レコーディングでは、普段グループとしてやっていることとは明らかに違うことを求めていましたね。その場で色々とリクエストしたり、微調整してもらうことも多々あったけど、それに対して真摯に向き合ってくれたし、可能性を感じましたよ。
田中:歌詞には英語があるのですが、私、英語が苦手なんですよ(苦笑)。だから発音はすごく意識しましたね。
Beverly:いやいや(笑)。もう全然大丈夫ですよ!
田中:いえいえ、そんな!(笑)。
末永:最後の「Ready Go!!」は、私一人で歌わせてもらったのですが、そこがもう何度やってもできなくて……(苦笑)。何回やっても音程が取れないし、語尾の切り方も上手くできなくて。
清水:あれは不思議な感じだったねぇ。
末永:でも、最後の最後の大事な部分だったし、先生方から、たくさんのアドバイスやヒントをいただき、どうにか歌えたのかなと思っています。
田中:当日、変更した部分もあったのですが、ギリギリまで、いいものを目指そうとする姿勢にも刺激を受けました。
渡辺:卓前で聴いていたのですが、「こういうボーカルが乗るなら、こういう音色を足そうかな」ってイメージがさらに膨らむ、充実したボーカルレコーディングでしたよ。
――作曲は、クラウドを設けて、そこでデータを共有して作り上げたとのことですが、3人で共作というのも、なかなかないケースですよね。
清水:なかなかどころか、普通ないです(笑)。
ats-:それも、別に誰がどこを作ったというやり方でもないんですよね。
清水:「ここまでお願い」ってこともなく、データを開いて、「ここまで出来ているから、じゃあ、ここまでやってみようかな」って。
田中&末永:そうだったんですね~
渡辺:たとえば、僕のほうで足してみて、次にデータを開いた際にそこがなくなっていたら、「あ、違っていたんだ」みたいなことも(笑)。
清水:『エグゼイド』では僕ら3人で劇伴を担当しましたが、お互いどういうものを作るか、特に擦り合わせることはなかったんですよ。それを今回、歌モノで実現したということだよね。
ats-:何より「仮面ライダー」といえば歴史あるシリーズですし、言ってしまえば、僕らが死んでも次世代に残る楽曲になるんですよ。その楽曲を任せられるプレッシャーが大きかったですね。
末永:仮歌の時点では先生方が作られた音色がまだ入ってなかったのですが、清水さんが弾いてくださったギターもそうですし、レコーディングを経て完成した楽曲は、ただもう圧巻でした。
清水:ちょうどレコーディング当日に写真撮影も行ったのですが、僕はギタリストだからギターを持ったまま撮ってもらってたんですよ。で、その後にギターを弾いんだけど、手がプルプルしちゃって(笑)。いや、お恥ずかしい話です。
末永:いえ、全然そんなことないんですよ。スタジオで「清水さんに“こんな風にやって”」と言ったらリクエスト通りに弾いてくれるよ、とお聞きしたので、最後のほうで「力強い感じでお願いします」とお伝えしてみたんです。そうしたら「こんな疲れているのに~?」と言いつつ(笑)、その演奏自体がとても素晴らしくて!
田中:リクエストに応えてくださってありがとうございました!
末永:ギターが入ったことで、それまでとガラッと雰囲気が変わったし、その場でそんなすごい表現ができてしまうのも驚きでした。ギターも含めて先生方が作られたサウンドと、私たちの歌声がひとつになったと思うと、本当に感激です。
●音楽の立場で背負うそれぞれの責任
――楽曲自体は第27&28話で使われましたが、実際にご覧になっての手応えや感想があればうかがえればと思います。
渡辺:オンエアの一回目をリアタイで観たのですが、完全に「この後で流れるよな」と思ったところで、けっこう引っ張られ、CMをまたぎ(笑)、ワクワクしながら観ましたね。
清水:今回は、見事にシーンにマッチした選曲をしてもらえて、実際にオンエアを観て「あれで良かったんだ」と確信が持てました。我々としては、曲を作りたくて作ったまでで、その後は楽曲をお渡しして、劇中でどういう風に使われるかが大事なんですよね。
Beverly:主題歌も毎回のOPだけじゃなくて、ドラマの終わる場面や戦う場面で流れることがありますが、同じ曲でも使う場所が違うと、その都度、新たな感動がありますね
末永:しかも2週連続で流してもらって、それぞれ違う箇所を使っていただき、そこも考えてくださったんだなって。
清水:すごく手厚いですよね。
田中:お話と歌もちゃんとリンクしていて。
末永:そう。最初の回では、戦兔さんが「俺はもう自分を見失わったりしない」と言う場面で、「芽生えた思い幻じゃない」の部分が流れて「なるほど!」と思ったし、2週目も、戦兔さんが決意するところで、歌のメッセージ性が強い部分を流していただき、どちらの回も見事にリンクしていましたね。
ats-:まさに。劇中の重要な場面で流す上では、無事に役割を果たせたのではないでしょうか。
――最後の質問です。今こうして『ビルド』に音楽の立場から関わってみてのお気持ち、そして今後への意気込みがあればお聞かせください。
末永:音楽って、その場の空気を変えるものだから、「大丈夫かなぁ」ってずっと不安だったんです。もちろん素晴らしい曲を作っていただけたし、私たちも全力で応えたつもりです。でも、やっぱりオンエアを観るまではドキドキで。今は録画で「Ready Go!!」が流れる箇所を何回も何回も観ちゃいますけど(笑)、それでも責任は強く感じていますね。
田中:責任感のほうが大きい。
末永:うん。普段の私たちの活動とも違うしね。曲を通じて自分たちを表現するX21に対して、今回は『ビルド』の世界観、物語にしっかり入り込んだ上で、曲としての表現があるんです。正直、X21としての歌声だと、ビルドのカッコ良さを表現できないから、力強く声を低くして歌うという、ビルドを中心に考えるわけですよね。
Beverly:それは私も分かります。ファイトシーンがたくさんある番組で、楽曲もアップビートで、それに応えられるかどうかは、大きなプレッシャーでした。
末永:でも、そこがまた今回、勉強にもなりました。
田中:そうだね。たとえばレコーディングでも「こういう風に歌えばいいのかな?」と今までにない発想ができるようになったし、歌う上での幅が広がりました。自分たちがこれから活動していく上でも、貴重な機会をいただけたと思っています。
Beverly:今はプレッシャーや嬉しさ、色々な気持ちがありますね。2月にフィリピンでコンサートを行ったのですが、日本の有名なドラマのひとつであり、世界にも誇れる仮面ライダーの主題歌を私が歌っていることを、現地の人もとても喜んでいてくれます。今後も機会あれば日本でも海外でも「Be The One」をたくさん歌っていきたいですね。
渡辺:前作『エグゼイド』は「医療」、そして今回の『ビルド』は「戦争」と扱うテーマが重たいんですよね。それこそ子どもだけじゃなく、大人が観ても考えさせられるものがある。今、AXL21の二人が責任と言っていたけど、やっぱり音楽にも責任があるし、むしろ、その責任を音楽の立場で背負うことが出来て、幸せだと思います。
ats-:今、動画配信で、時代毎の好きな仮面ライダー、好きな話数が手軽に観られる時代になったけど、そこで流れている音楽って、より重要になって行く気がするんですよね。振り返ってみて、昭和の時代なら、菊池俊輔先生が作られた音楽があり、その土壌を踏襲しつつ、今度は自分たちが新しく積み上げて行く。『ビルド』を通じて、その歴史の一翼を担えたとすれば、僕らにとってもこんなに嬉しいことはないですよね。
清水:劇伴でも挿入歌でも映像のための音楽って、最終的に画と合わさって、観る人にどういう効果を与えるのか確認できないと、作り手としては怖いんですよね。果たして楽曲がどういう情感を煽ることができるのかと。「Ready Go!!」はテンポも早いし、AXL21の若く勢いある歌声もあるから、漠然と戦う場面のバックでカッコよく聴かせたいという思いを持っていたけど、そこは狙い通りだったので、本当に今回は満足だし、納得の行く仕事ができたと思っています。
渡辺:今後も機会があれば、『ビルド』を通じて、音楽的にも様々なアプローチをしていければと思っています。是非ご期待ください!
テキスト:トヨタトモヒサ
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