2017.04.03 公開

photo:Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)


3月18日、幕張メッセにてビクターロック祭り2017が開催された。
真っ直ぐに客席に伸びる客電の光、ゴールドのスーツ姿でKREVAがステージに現れる。観客が持つ金のテープの光が眩しく煌めくなかスタートした曲は『Na Na Na』。一曲目からクライマックスのような荘厳さである。



「2月1日にビクターからニューアルバムをリリースしたので、“ロック祭り”だけど今ここにいます。なぜおれのニューアルバムのタイトルが『嘘と煩悩』というのか、これからみんなに教えましょう。嘘800+煩悩108合計908。KREVA、おれだ!嘘と煩悩、アルバムのタイトル16回連続で言ってもらいます。」

サイケデリックなビートに乗せて16回連続で唱える「嘘と煩悩」。KREVAの言う通りオーディエンスはトランス状態だ。

「ここからは協力しなくていい、おれのスキルを味わってくれ。Let’s go!」

そして披露されたのは『神の領域』。超高速フローで日本のヒッップホップ界頂点のスキルを見せつけると、観客のボルテージを捲し立てるようにステージからは火柱が吹き上がる。間髪おかずに『基準』に突入。

またも繰り出される超高速フロー。オーディエンスが息を止めKREVAの世界に完全に吸い込まれたそのとき、ステージ前方で爆発!肺に溜めた空気がはじけ、心臓は破裂寸前まで膨れ上がる。言葉の世界の力と現実世界の物理的な力が共鳴し、五感を超えて第六感まで刺激を与えられるような体験ができるのはKREVAのライブだけだろう。



「ありがとうございます。」

深々と観客に対しお辞儀をし、MCを挟んで披露されたのは『あえてそこ(攻め込む)』。

「苦手なとこ 開けた重い扉 置いときな 思い込みは」

ヒップホップ初心者でも聴き取りやすいライムで会場の一体感を高め、心の扉をじんわりと解放していく。つい口ずさみたくなるような小気味のいい押韻は、初めてライブでラップを聴いた人たちの記憶に染み込んだに違いない。



「自分が居やすい場所にずっといて、やりやすいことやってるのも楽しいかもしんないけど、俺はどんどんこういうところに出てきてみんなの目に触れて、自分のフィールドを広げたいと思います。2017年の3月、今日、“ビクターロック祭り”初めて来た。このステージの上、今ここが俺の”居場所”。」

ステージにはスモークがかかり、真っ白な光がKREVAに集まる。ここ数年のラップブームには言及も示唆もせず、自らの手で自らの世界を広げていく意志を歌い上げる。

そして最後の曲は『音色』。軽くて気持ち良いギターのリフとシンセの音色が会場に響く。ヒップホップであり、ヒップホップでないような不思議な魅力を放つ楽曲は、日本語ラップという未開の地を先陣切って開拓してきたKREVAの一つの解答のようであり、ビクターロック祭りという祭典でのパフォーマンスのラストを飾るにふさわしい楽曲だった。

(取材/文:樋熊涼)



3月18日 ビクターロック祭り2017 BARK STAGE
KREVA セットリスト

M1.Na Na Na
M2.嘘と煩悩(short ver.)
M3.神の領域
M4.基準
M5 ストロングスタイル
M6.あえてそこ(攻め込む)
M7.居場所
M8.音色

 

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